わがまま女性に散財しても結婚はできない

 地方都市で地場産業を経営しているひろとさん(46歳 仮名)は、年収1600万円。これまで恋愛経験がほとんどありませんでしたが、この度、婚活を始める決意をしました。そのことを懇意にしている取引先の部長に話すと、「知り合いに独身の女性がいて、確か恋人を探していたと思うから、聞いてみましょうか」と言って下さったそうです。

「ぜひ、お願いします」

 そうして紹介されたのが、「自営でセミナー講師をしている」というちあきさん(41歳、仮名)でした。

 最初は、紹介者の部長さんを含め、3人で食事。一流ホテルの和食ランチでしたが、そこを指定してきたのは、ちあきさんでした。そのときは、8000円のランチに飲み物がついて、3人で3万円弱。

 次のデートもちあきさんの指定で、都内の有名なフレンチレストランに行きました。このときはディナーだったので、2万円のコースに飲み物やテーブルチャージの料金がついて、2人で5万円近く。

 カードで支払いを終えたひろとさんは、思いました。

「結婚が決まるまでは、デートの度に、こんな高額な食事が続くのだろうか」

 そこで、3回目のデートでドイツ料理を食べたときに、ひろとさんは、ちあきさんに聞いたてみたのです。

「ちあきさんは、僕との結婚についてどう考えていますか?」

 すると、ちあきさんは涼しい顔で、こう答えました。

「私、今仕事に夢中なんです。もう少し今の事業を拡大したいし、取りたい資格もあるので、最低3年は結婚を考えられない。ただ、ひろとさんとこうしてお会いしてお食事するのは、とても楽しいし、刺激的だし、本当に素敵な人をご紹介していただけたなと思っているんですよ」

 この発言にひろとさんは、口をあんぐりと開けてしまいました。

「美味しい食事がただで食べられる、これはお財布がわりにされている!」

 紹介して下さった部長さんは、「彼女は、恋人を探している」と言っていたけれど、その先の結婚は全く考えていない。これでは、恋人というよりも、高級レストランで食事をさせてくれる男性を探しているだけ。婚活でななく、パパ活ではないか!

 結婚相手を真剣に探そうと思っている自分とは、そもそも考え方が違っているし、いいように利用されていることに気付いたというのです。

 仕事はできで、高収入を得ている。ところが恋愛をしないまま歳を重ねてしまった男性たちが40代後半、50代、60代になってから婚活を始めると、どうも失敗が多い。

 お金があるから若い女性と結婚できるわけではなし、ご飯を何度もご馳走していれば、女性の気持ちが手に入るわけではないのです。仕事と恋愛は違います。恋愛で大切なのは、相手の気持ちが今どこにあるのか、それを確かめながら、関係を前に進めていくことです。女性から好きになってもらわないと、時間を使っても、お金を使っても、結婚はできません。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。新刊100日で結婚(星海社)好評発売中。公式サイト『最短結婚ナビ』 YouTube『仲人はミタチャンネル