新型コロナウイルスのワクチン接種に伴い、市販の解熱剤の売り上げが伸びている。2021年8月の解熱剤の売上高は、前年同時期に比べて7割も増加した。実際、ワクチン接種後の副反応に備えて購入した人も多いだろう。

毎日10錠のんでいた30代女性のケース

2020年8月の解熱鎮痛剤の販売額は週に11億円程度だったのが、ワクチン接種が本格化した2021年8月の同時期は約7割増えて18億円以上にのぼった。首都圏の4都県に限ると、なんと8割増。解熱鎮痛剤に含まれている要注意な成分

 ドラッグストアで手軽に入手でき、安全なイメージのある解熱剤だが、実は依存性があり、「なかには劇薬を含む危険なものもある」と話すのは医師の谷口恭さんだ。

「副反応が出た際に服用がすすめられている解熱剤は、正確には『解熱鎮痛剤』と言います。熱を下げたいときのほか、頭痛や生理痛などの痛みを和らげたいときにも使われるため、『痛み止め』とも呼ばれていますが、痛み止めの成分には依存性があり、安易に使ってはいけない薬なのです」(谷口さん、以下同)

 解熱鎮痛剤のなかでもトップレベルに危険なのが、ブロモバレリル尿素という劇薬成分が入ったタイプだという。市販薬では『ウット』などがそれに当てはまる。

「ブロモバレリル尿素は依存性がきわめて強く離脱が非常に難しい成分で、自殺に使われることすらある劇薬です。10代から頭痛に悩まされ、ブロモバレリル尿素入り鎮痛剤をのみ続けて手放せなくなり、30代になるころには毎日10錠以上の服用が習慣になった女性の患者さんもいました」

 診察室でこの薬の危険性を説明すると、女性は真っ青になったという。

「この女性をはじめ、たいてい最初は決められた用量を内服していますが、次第に増えてやめられなくなっていきます。ほとんどの“被害者”は『依存性があると知っていたら初めから使いませんでした』と言います。この薬は依存のリスクが高いにもかかわらず、安全で身体に優しいイメージの薬として宣伝され、薬局で簡単に手に入ります。本来であればメーカーや薬局があらかじめリスクを説明する義務があるのですが、それが果たされていないことは大きな問題です」

 自分が買った解熱鎮痛剤がそのタイプかどうかは、どう見分ければいいのだろうか。

「箱などのパッケージの裏側を確認して、有効成分の欄に『ブロモバレリル尿素』と書かれているか、確認してください。もし表示があったとしても、ワクチンの副反応が出た際に1~2回服用する分にはそれほど大きなリスクはありませんが、強い依存性があることを認識して、必要以上にのむことは絶対にやめてください」