「払われた多くの尊い犠牲は、一時の行為や言葉によってあがなえるものではなく、人々が長い年月をかけて、これを記憶し、ひとりひとり、深い内省の中にあって、この地に心を寄せ続けていくことをおいて考えられません」

 こうした思いについて、宮内庁OBで皇室ジャーナリストの山下晋司さんは、次のような見解を示す。

「皇太子時代のこの談話から50年近くたちましたが、天皇として最後の記者会見で、退位後も沖縄への思いは変わらないとおっしゃっています。上皇后陛下は上皇陛下を支えながら、ともに沖縄に心を寄せてこられました。いわば二人三脚で、当時の談話に込めた思いを行動で示し続けてこられました」

「馬の仕事は大変ですよね」

 沖縄への思いがおふたりの根本に深く関わっているのであれば、今回の展覧会を一度見送ることにも、ご覚悟が必要だったのではないか。

「災害やご体調などのさまざまな要因で、お出ましが延期や取りやめになることは当然あります。取りやめになっても、おふたりはずっと気に留められて、別の機会に関係者にお会いになるなどされてきました。それほど国民との触れ合いを大切にされてきましたが、それを続けてこられたのは、上皇后陛下が常に上皇陛下をお支えになってきたからだと思います」(山下さん)

 平成最後の沖縄訪問となった'18年3月には、これまで足を運ばれたことがなかった与那国島へ。その際のことを、おふたりが立ち寄られた『東牧場』で、当時スタッフとして交流した西山真梨子さんが振り返る。

'18年3月、在位時最後の沖縄訪問。与那国島民の歓迎を受け、満面の笑みをお見せに
【秘蔵写真】ご成婚前、女子大生時代の美智子さまが美しすぎる

「おふたりとも馬に大変詳しくて、上皇さまは“野間馬やトカラ馬もいるんですね”と、日本の在来馬についてお話しくださいました。“子どもたちを馬に乗せる活動もしているんですよね”と、牧場の活動についても事前に調べてくださっていて。美智子さまは別のスタッフに“馬の仕事は大変ですよね”とお気遣いくださったそうです」

 上皇ご夫妻からは“普通の夫婦”といった雰囲気があふれていたという。

「印象的だったのは、上皇さまが馬の頭を抱え込むような形で、ずっと触れていらっしゃったことです。お召しものが汚れてしまうんじゃないかと少しヒヤヒヤしました。
美智子さまは当時、足が痛む中でのお出ましだと聞いておりましたが、ずっとニコニコされていて。

 こんなことを申し上げたら失礼かもしれませんが、一般的なご夫婦と変わらない対応をさせていただいた感覚で、とてもすこやかな気持ちになったことを覚えています」(西山さん)