全世界的にメンタル不調が増加している。経済協力開発機構(OECD)が昨年実施したメンタルヘルスに関する国際調査によると先進国でうつ病、うつ状態の人が増加しているとの結果が出た。日本国内でも’13年に7・9%だった有病率が’20年には17・3%と2倍以上に増加していた。

 私たちの身近でも“気分が落ち込む”“倦怠感”“意欲・気力の低下”などの症状を訴える人も目立つようになった。「うつ病ではないか」と疑い、心療内科や精神科を受診する人も少なくはないのでは。

 うつ病は大きく分けて、精神疾患の『大うつ病』『頸筋うつ』の2種類がある。

「大うつ病は遺伝性のあるうつで、数も極めて少なく、増えることはないんです。『頸筋うつ』は、スマホやパソコンの使いすぎと外傷(頭部外傷とむち打ち)が原因で起こり、精神疾患ではありません。頸筋(頸部にある筋肉)の治療で完治します。最近ではスマホ・パソコンの普及に伴い、頸筋うつが急増しています。実はうつ症状のある人の90%以上がこの頸筋うつと見られています」

 そう語るのは、脳神経外科医で東京脳神経センター理事長の松井孝嘉さん。

 松井さんが特に危険視するのが『頸筋うつ』だ。

「これは『自律神経系うつ』とも呼ばれ、首を酷使することにより、筋肉に異常が起こり副交感神経に不具合が現れます。自律神経は、心身を緊張・興奮させる交感神経と、リラックスさせる副交感神経がある。首の筋肉のこわばりやコリによって副交感神経の働きが悪くなった結果、自律神経が乱れ、全身倦怠感、慢性疲労の症状が出て、それが長く続くと意欲・気力が減退し、気分が落ち込み、不安症状、集中力がなくなる、判断力の低下、物覚えが悪くなる、イライラ・焦燥感などの症状が出てくるんです」