介護がのしかかると他がおろそかに

 ヤングケアラーとされる子どもの年齢は18歳未満を指す。学校に通い、教育を受けながら基本的な人間関係をつくっていく段階にあるなかで、介護がのしかかると、それらがなおざりになってしまう可能性がある。

 また、成人以上のケアラーにとっても状況は深刻だ。

 日本ケアラー連盟はおおむね30歳代まで若年層の介護者を「若者ケアラー」と定義するが、厚生労働省が行った調査では、大学3年生の約10人に1人が「世話をする家族がいる」、あるいは「過去にいた」と回答している。

 若者ケアラーの年代は、本来、勉学や仕事に力を注いでいる時期。それが、家族の介護で手いっぱいになってしまうと、昇進や恋愛、結婚といった将来への大きな可能性を摘み取ってしまうリスクとなりかねない。

「実際に、勉強時間が取れないせいで大学進学などを諦める子どももいます。また、進学せず就業したとしても、介護を生活の主軸に考えるとどうしても非正規になってしまう、という問題も。就業機会がきちんと得られないと、無年金など将来の自分自身の人生にも深く関わってきます」(日本ケアラー連盟)

大切な時間が介護で奪われていく

 心身共に未発達なうえ多感な時期である子どもや、社会経験の乏しい若者が背負う介護。その実態は過酷だ。

父子家庭、中学生Aさんのケース

 中学生のAさんは、父子家庭。祖母の介護を小学生のころから6年間続けてきた。父親は夜勤を含む就労で家庭のことにはほとんど関与していない。彼女は小さいころから面倒を見てくれた祖母が大好きで、夜間の排泄介助や通院付き添い、服薬管理、デイサービスへの送り出しなどを繰り返すなか、介護中心の生活が学校生活に大きく影響。

 遅刻や早退、欠席が増え、学習にも遅れが出てきたことから教員が声がけし、初めて実態が判明した。地域の行政に連絡してケアマネジャーらと面談、祖母はショートステイや入院を経て、老人ホームへ入所することが決まった。

母子家庭、小学生Bさんのケース

 母子家庭の小学生Bさんは遅刻早退が増え、健康状態も思わしくなくふさぎ込んでいる様子だったため、担任が事情を尋ねたところ、精神疾患の母親の面倒や弟たちの保育所送迎をはじめ、家事全般を担っていたことが判明。

 働けなくなっていた母親はリストカットのあげく、昼夜逆転の生活を送っており、子どもたちは疲弊、栄養失調ぎみになっていた。学校はBさんの体調や状況を見守ろうと、小児科受診で健康面の管理ができるように手配。SSW(スクールソーシャルワーカー)が自治体のサービスなどにつないで負担軽減を図った結果、生活保護や訪問介護、福祉サービスの利用に結びつけることができた。