立体駐車場の外壁に残っている安倍元首相銃撃事件の弾痕(青い丸部分)
立体駐車場の外壁に残っている安倍元首相銃撃事件の弾痕(青い丸部分)
【写真】観光地化した立体駐車場の壁に残っている弾痕

 例えば、亡くなったのは安倍氏の影武者だとか、スナイパーは別にいるといった類いの説。

 安倍氏は2発の弾丸を受けたとみられているが、体内から1発が見つかっていないことが先ごろ判明。捜査当局は救命措置中などに体外に出た可能性があるとみており、不自然とは考えにくい。

 しかし、陰謀論者は“それ見たことか”とばかり根拠の希薄な独自見解をとうとうと述べている。

 なぜ、不謹慎な陰謀論が持ち上がるのか。

JFK暗殺との類似点

 ネット事情に詳しいジャーナリストの渋井哲也さんは「JFK暗殺との類似点が影響しているのではないか」として次のように話す。

「パレード中に狙撃されたケネディ米大統領は直前にコース変更しており、安倍元首相も急きょ変更した遊説先だった。それだけの共通点で事件後すぐ“真犯人は別にいて関西国際空港から逃げた”などと騒がれるようになりました。陰謀論が盛り上がるのは、ニュースで事件の動画などを見て不安な気持ちになり、それをかき消そうとする心理が働くことも一因と言われています。怖い現実から目を背けたくて陰謀論に乗り、悪意なく広めてしまう人もいるんです」

 人が命を奪われているのに面白がるなどもってのほか、慎重に判断するようにしたい。