ふるさと納税も上回る地方への貢献

 そもそもたばこ税の特徴の一つは、使い道が制限されない一般財源であるということです。

 その用途は屋外分煙設備にとどまりません。それらは道路や下水道の整備、学校の運営、ゴミ処理費用、福祉施設の整備、公民館、図書館、博物館の運営、環境保全対策、生活保護のほか、旧国鉄の債務返済、国有林野事業の負債返済などに及んでいます。

 少子高齢化や災害対策などで、インフラの新設や改修が求められる中、たばこ税は貴重な財源です。その総額をあらためて確認しますと、たばこ税は年間およそ2兆円に上ります。日本の税収は2020年度に約64兆9330億円で、たばこ税はその1.5%を占め、少なくありません。

 さらに詳しく見てみますと、たばこ税は大きく3種類に分かれます。国たばこ税が8398億円、地方たばこ税が9505億円のほか、債務の返済などに充てられるたばこ特別税が1122億円(いずれも2020年度)。

 たばこ税には地方たばこ税が含まれるところから分かるように、地方財政にとっても欠かせない財源になっています。ふるさと納税の全国での受け入れ実績が、2020年度に約6724億円、2021年度に約8302億円ですので、地方たばこ税の収入約9505億円という額の大きさがわかるかと思います。

 インターネットリサーチのネットエイジア株式会社が今年8月に20歳~69歳の男女1,000名(喫煙者500名、非喫煙者500名)に対して行ったアンケートによると、非喫煙者の66.8%がたばこ税は社会に貢献している(「非常にそう思う」と「ややそう思う」の計)と回答したそう。愛煙家が思う以上に、ノンスモーカーはその税収への貢献を認めてくれていると言えるかも知れません。

1年のたばこ税の税収は東京五輪の予算を上回る

 たばこの販売数量自体はこの20年間にわたって低下が続きますが、増税もあり税収はほぼ一定です。たばこの購入金額の約6割(61.7%)はたばこ税で占められています。

 

 税金がかかる代表的な消費財と比べると、ビールが45.0%、ガソリンが50.78%で、たばこはダントツで値段に占める税率が高い消費財です。2021年に盛会に終わった東京五輪の予算が1兆6440億円だったことを振り返ると、たばこ税を通して愛煙家が寄与している貢献の規模は小さくはないといえるでしょう。