“最初に公開した人物だけが罪に問われる”わけではない

 この件で田中が心に負った傷や、今後の活動における痛手はいかほどのものだろうか。芸能人に関わらず、自身のプライベートな写真がネット上に出回ってしまうといったケースは近年のネットにおける放っておけない問題のひとつ。責任の所在はどこにあるのだろうか。しかし、もやは誰が最初にネットに流出させ、誰が拡散させたかも見えずらい状況かつ、今回は田中が自ら送りつけた動画である。このように拡散されてしまっても“自業自得”で片付けられてしまうこともあるのだろうか………。『弁護士法人LEON』の遠藤大介弁護士に話を聞いた。

田中聖氏の動画はご本人が自ら送信したという事情もあるようですが、必ずしも本人の自業自得で片づけられるものではありません。

 まず、わいせつな画像や動画を不特定又は多数者が認識可能な状態にする行為は、わいせつ物陳列罪(刑法175条1項)にあたる犯罪行為です。今回の動画は、田中氏の露出した性器がモザイク無く写っているということですので、『わいせつ』物にあたります。また、この犯罪は、最初に公開した人物だけが罪に問われるというものではなく、公開した人物全てに成立の可能性があります」

'21年にヒカルのYouTube動画に出演した田中聖被告。弟・田中樹の「足を引っ張らないように」とコメント
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わいせつ物陳列罪』の罪状は『2年以下の懲役、もしくは250万円以下の罰金、もしくは科料に処し、または懲役及び罰金を併科する』と定められているという。また、流出に関与した者らが罪に問われる場合もあるという。

「『リベンジポルノ防止法』違反の可能性も考えられます。リベンジポルノとは、撮影対象者の同意を得ずに、性的画像・動画をインターネット上などに公開する行為をいいます。この法律は、(1)第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、性的な画像・動画をインターネット上に公表する行為、または(2)公表させる目的で第三者に性的画像・動画を提供する行為を禁止しています。

 したがって、今回の件においても、流出に関与した人物が罪に問われる可能性は大いに考えられます。さらに、動画流出は、田中氏の肖像権やプライバシー権などの権利を侵害するものですので、民事上の損害賠償請求の対象にもなる行為です