目次
Page 1
ー 「純と愛」⇒「あまちゃん」のときと似ている
Page 2
ー 視聴していてしんどくならない理由
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ー 「ちむどんどん」に視聴者が困惑を覚えたワケ
Page 4
ー 細かい部分をおろそかにせず、丁寧に伝えるのが大事

 ネットのムードがまるで違う。反省会から歓迎会へと反転してしまった。国民的番組“朝ドラ”(連続テレビ小説の愛称)への反応のことである。

 4~9月まで放送されていた沖縄生まれのヒロインの冒険を描いた「ちむどんどん」(脚本:羽原大介、主演:黒島結菜)はSNSで「#反省会」という批判タグを筆頭にネガティブ発言が多く政治家がいかがなものかと発言したり、著名人が見ない宣言をしたりとツッコミエンタメという奇妙な方向で盛り上がった。

当記事は「東洋経済オンライン」(運営:東洋経済新報社)の提供記事です

 ところが、10月からはじまった、東大阪と五島列島を舞台にしてヒロインが空を目指す「舞いあがれ!」(脚本:桑原亮子ほか、主演:福原遥)は第1週の時点で今回は安心して見ることができるとホッとした声がネットの主流になっている。

(※ここから先はネタバレを含みますのでご注意ください)

「純と愛」⇒「あまちゃん」のときと似ている

ちむどんどん」ではここがおかしい、あそこがヘンと指摘するネットの声を逐一集めて掲載していたネットニュースが、「舞いあがれ!」ではここが優れていると、いいところを紹介している。スタンスの振り方が極端なのだ。じつはこの現象、過去にも一度あった。

 10年前、「純と愛」(2012年度後期)から「あまちゃん」(2013年度前期)に切り変わったときの視聴者の反応がやはり極端に振れたのだ。ヒロインに次々と試練が襲いかかり最終回も衝撃的だった「純と愛」は「なんでこうなるの?」と批判され、人情あふれる海の町でヒロインが育まれていく「あまちゃん」は絶賛された。

 人間は期待しているものと違うことに激しく拒絶反応を覚えるものなのだ。では朝ドラに皆が期待しているものとは何なのか。

 まずは「舞いあがれ!」の何が好ましく受け止められているか挙げてみよう。

その1:清々しい自然の風景
その2:つつましい家族
その3:主人公が謙虚
その4:お父さんが働き者
その5:おばあさんがいいことを言う
その6:お友達や隣人がやさしい