千葉県に住む主婦の津田美佳さん(仮名・41)は、ママ友のインスタグラムを見て、その華やかな投稿に悪意を持って“かわいそう”と書き込んだという。

今考えるとうらやましいの裏返しでした。私は借家で、子どもはひとりっ子。一方、そのママ友は地元出身で両親も近所に住んでいる。友達も多くて子どもも2人いて、生活に余裕があるのかいつもきれいにしている。

 それが鼻について学校を休んでテーマパークに行っている投稿を見て、つい“学校休ませてかわいそうだよ”と送っちゃいました。かわいそう、って万能な言葉。悪意どころか善意で言っているように見えるじゃないですか。だから気に入らないことがあると“かわいそう”と連発したりして」

 その後、ママ友との会話の中で“かわいそう”発言を反省する出来事があったという。

ママ友の長男に言われたんです。いつものように公園で遊んでいるときに、その子どもが習い事があるからって先に帰ったんです。うちは習い事をしていなかったので、悔しくて“そんな小さいうちから習い事して遊べなくてかわいそうだよー”って。

 ママ友は“そうだねぇ”なんて流していましたが、その子ども“それってあなたの感想ですよね”って私に言ってきたんです。ひろゆきさんのモノマネが流行っていて何の気なしに言ったんだと思いますけど、恥ずかしくなっちゃって。

 相手が気にしていないことをいくら“かわいそう”と言っても何も響かないことにも気づいたんです」

 と、気づきを得た津田さんは現在“かわいそう”と投稿した人のメンタルを気にかけている。

「他の人も私と同じで嫉妬やマウントの意味で“かわいそう”を使っている気がする」

 みんながみんな津田さんのような闇を抱えているわけではないと思うが……。

カウンセラーが教える対処術

 女性の人間関係に詳しい心理カウンセラーの小日向るり子さんは、

「かわいそうと言う人は基本的に悪意はありません。例えばひとりっ子でかわいそうと言うのは悪意はなくとも価値観を押しつけているので、言われた方は不快に感じることが多いですよね。年配の方は物質至上主義が多いため、“ある”ことが正義で“ない”とかわいそうという心理になりがちです。

 一方で若い人が使う“かわいそう”は“ヤバい”と同様の感覚で使っていることがあります」

 どう対処すればいいのか。

あなたはそういう価値観なんですね、と受け止めればいいんじゃないでしょうか。そもそも自分が良いと思っていることに対してかわいそうと言ってきているのだから、そこですでに“かわいそう”の認識のすれ違いが起きています。

 永続的な関係を築くわけでもないママ友や通りすがりの年配者にはこのすれ違いに真っ向から対決するのではなく、受け流す。傷つけようとして言ってくる人はごくわずかでしょうし、そもそも悪意がない相手に突っかかってもしょうがないですからね」