「目的」を持って過ごす人生は長い

「歴史上の高僧は長寿が多いといわれますが、なにも彼らは長生きするためだけに修行や摂生をしたわけではありません。あくまで僧の目的は仏道を成就し、悟りを開くこと。その『人生の目標』を追い求めるうち、無駄なものは自ずと離れ、感謝と慈悲の心が芽生え、ストレスもたまらず、気がつけば長生きの人生になっていたのではないでしょうか

 そう教えてくれたのは御年77歳の藤原住職。長寿は誰しもの願いだが、自らが長寿を望むのは何のためだろう?

 「人生の目標」というと壮大だが、「日常の些細なできごとを楽しむ」だけでも、人生はいくぶんか豊かになるはずだ。どんな人もいつか必ず死を迎える。それを恐れるよりは、余生は“与生”と思い、おのずから感謝して生きたい─それが僧侶に共通した考え方なのだろう。

お坊さんがおすすめする心を調える呼吸「内観の法」

 江戸時代の禅僧・白隠慧鶴が自著のなかで紹介したリラックス法。現代なら、夜寝る前か朝起きる前にベッドにあおむけに横になりリラックス。

 次に「丹田」というおへそから下指4本分のあたりにグッと力を入れて深呼吸。息はまず全部吐いてから、両足の土踏まずから空気が流れてくるようなイメージで大きくゆっくり吸う。

お話を伺ったのは……

藤原東演住職
臨済宗妙心寺派宝泰寺住職。「静岡いのちの電話」評議員なども務め、インドやブータンなどの仏跡巡拝を続ける。自著に『お坊さんに学ぶ長生きの練習』(フォレスト出版)など。
平井正修住職
臨済宗国泰寺派全生庵住職。2003年より、第七世住職に就任。多くの政治家も訪れる坐禅会や写経会を随時開催。『囚われない練習』(宝島社)など、著書多数。
早島英観住職
千葉県南房総市妙福寺住職、一般社団法人「寺子屋ブッダ」理事。仏教や寺を身近に感じてもらうイベントやワークショップなどを多く企画・発信。企業研修講師なども務める。
泰丘良玄副住職
臨済宗妙心寺派泰岳寺副住職。慶應義塾大学理工学部を卒業後、僧に転身。講演や研修会、ブログなどを通して仏教や禅の教えを発信中。一般に向けた坐禅会や写経会なども行う。
奥田昌子先生
内科医、京都大学博士(医学)。健診や人間ドックで約30万人の診察・診療にあたる。著書に『日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた』(講談社ブルーバックス)など。

取材/オフィス三銃士