また、年賀状じまいは企業単位でも増えている。

「環境志向」「デジタル化」の影響で“年賀状じまい”

年賀状じまいの考え方は企業から始まりました。紙の大量消費を回避しようという、『SDGs』に端を発するものだと考えられます。HPやメールなどで年賀状じまいの発表をする企業が増えていますね」(高尾さん)

 たしかに、スマホが台頭してからは、挨拶の手段が紙からデジタルに移行している。この時代の流れも年賀状じまいを後押ししているのだろう。

「若い世代からは、年始の挨拶をメールやSNSでしていいものか、という質問が多いのですが、挨拶の方法は時代によって変化していきます。

 デジタルツールのほうがコミュニケーションをしやすい相手なら、ツールがなんであれ問題ありません。気になる人は“メールで失礼します”などとひと言添えておくと丁寧ですね」(西出さん)

 ただし、事前にやめることを知らせるなら、相手が年賀状の準備を始める12月上旬までに連絡をしておこう。

高齢な親の年賀状、どうする?

 文字の読み書きが難しくなった親の代わりに、終活年賀状を送らなくてはいけない子ども世代もいるだろう。親の健康状態によって書き方を変えてみては。

「とにかく大切なのはコミュニケーションです。親には事前に“私に何かあったら連絡してほしい人”の名簿となる住所録を作ってもらっておくといいですね」(西出さん)

イラストはイメージです
イラストはイメージです

親の健康状態が良好な場合の代筆

 子どもである自分が代筆していることは伏せてOK。文面は、本人の特別な思いがないようなら例で挙げているような内容に。年齢を理由にするなど、当たり障りのない理由と今後の連絡先などを親の名前で送ろう。

親とコミュニケーションが難しい場合の代筆

 文面で親の状態を説明し、それを理由として「今後は控えさせていただきます」とするのがベター。結びには必ず、相手を気遣う気持ちである「ご健康とご多幸をお祈り申し上げます」の言葉を。


取材・文/長江裕子