デートで出会った高収入の“優良物件”

 休日の午前と午後の2回にデートを設定した亜由奈さんは、初回の日の午後に出会った男性から猛アタックされ、付き合うことになったという。

「デートの場所は都内のホテル内にあるカフェ。日焼けした男性は“接待ゴルフが続いてね”という不動産関係の社長。私より7歳年上でした」

 岩本(仮名)という男性は、年収が2000万円近くあり、車も3台持っていると自慢げに話した。そのまま夕食に誘われ、銀座の鉄板焼き屋でコース料理をごちそうされたという。

「ワインバーで3度目のデートをしたとき、結婚を前提に付き合ってほしいと申し込まれました。その夜にホテルで男女の関係になったんです」

 亜由奈さんは友人たちに「プロポーズされた」とLINE。中には「指輪はもらった? 親の紹介を早くしたほうがいいよ」とアドバイスしてくれる友人もいたという。

「次のデートで指輪のことを話したら“ちょっと今忙しいから、ゆっくりしたら一緒に買いに行こう”と彼。ではいつごろになるかと尋ねると“今20億円の大きな物件を動かしているんだ。ちょっと待ってくれ”と言うので、信じたんです」

 ところが3か月たっても、指輪だけでなく親への紹介や結婚式のこともすべて「忙しいから」とはぐらかされた亜由奈さん。彼のマンションに遊びに行きたいと言うと、「今は会社に寝泊まりしていて家に帰っていない」とマンションにも招いてくれない。そんな状況を聞いた友人たちがこぞって「怪しいよ」と何度も忠告してきたという。

「そこで『結婚前調査』をネットで調べ、男女問題のトラブル解決に定評のある探偵事務所に依頼すると、30代後半の男性の探偵さんが話をじっくり聞いてくれました」

 探偵は「彼が見栄を張っているのかもしれない」と話し、岩本の身辺調査を提案してきた。そこで調査してもらったところ、岩本の会社は登記があるものの、実体のないペーパーカンパニーであることがわかった。

「ショックでした」と亜由奈さん。だが彼がウソをついていると信じたくなかったという。探偵は岩本の家を突き止める、つまり“ヤサ割り”のために、亜由奈さんに協力を求めた。それは亜由奈さんが岩本をおびき寄せるという作戦だった。デートの約束場所にやってきた岩本を探偵が監視をする。そして亜由奈さんが岩本とのデートの途中で「急用ができちゃった」と先に帰り、探偵が岩本を追跡するという手はずだ。

 その結果、岩本は隣の県の戸建てに住み、妻と中学生の子どもが2人いることがわかった。夫婦仲は円満で、調査した夜の夕飯は一家で近くの焼き肉屋だった。妻に仕事のことを聞かれた岩本は「今の工事は納期がきつくて」と妻に愚痴をこぼしていたという。

「岩本の仕事は工事現場監督で、案件ごとに都内や地方に赴任するため、場所によっては長期で家を空けることもでき、そのため独身を装うことができたそうです。また仕事がら年収700万円以上はあり、2000万円ほどではないけれど、高収入の部類に入ることもわかりました。だから豪勢な食事をごちそうしてくれ、単身用のマンションを持ち、ラブホではなく一流のシティホテルで宿泊できた。独身の金持ちを装った、とんでもない男だったんです」