「ビッグマウス」も結果で黙らせる

 鎌田の出身校である東山高校は県内ではサッカー強豪校といえるが、全国レベルではそれほど結果を出しているとは言い難い。そのため、結果的にプロ入りしたとはいえ鎌田も有名な選手ではなかった。久保建英や堂安律など多くの代表選手が中高生時代からその名を轟かせていたこととは異なり……。

 鎌田は中学時代はガンバ大阪ジュニアユースに所属。ユース(高校生年代)には昇格できなかった。Jリーグクラブの下部組織に在籍し、高校生チームに昇格できなかったというエピソードも本田圭佑と同様だ。

「東山高校時代、関西のリーグ戦で結果を出し、スカウトされプロ入りしました。デビュー2戦目の試合後のインタビューでは、“開幕の時から『なぜ俺を使わないんだ?』と思っていました。それで監督と1時間話し合ったりもしました”とハッキリとコメント。

 結果を残してきたキャリアのある選手がこのような話をすることはままありますが、1年目の選手がこのような“文句”とも捉えられることを発し、またそれをチームのトップである監督に伝え、話し合うといったケースは初めて聞きましたね。

思ったことはちゃんと口に出す。自信がなければできないことですし、またビッグマウスなだけでなく、結果で黙らせるといったことをくり返してきた選手だと思います」(前出・サッカーライター、以下同)

 その姿勢は、日本人サッカー選手のトップオブトップが集まる代表チームにおいても変わらない。日本サッカー協会が配信するYouTubeチャンネルが伝えたチームの裏側の一幕だ。'21年6月、代表チームの練習前に鎌田は、今回のワールドカップ日本代表のチームメイトである伊東純也、南野拓実と談笑。

 南野は前年'20年にイングランド・プレミアリーグの強豪『リバプール』に移籍していた。リバプールは前シーズンに海外サッカーの最高峰チャンピオンズリーグで優勝、南野が移籍した'20年のシーズンもプレミアリーグ優勝している。

 そのリバプールを指し、南野に対し鎌田は少々甲高くなった半笑いのような声色で次のように言い放った。

「(リバプールは)上手い選手いないでしょ」

「(南野がフィルミーノ選手は“抜群に上手い”と返すと)そんなフィジカルとかないでしょ」

 世界でも指折りの強豪であり、全世界から超有名選手が集まるビッグクラブも、当時ブラジル代表の選手も、鎌田にとってはたいしたことがない。もしくは射程圏内で超えていく対象ということか。