ついやりがちな自転車の危険運転

 今回取り締まりが強化されたのは冒頭に挙げた4つの違反が中心となる。注意すべきポイントはどこだろうか。

「いずれも重大な事故につながる危険行為です。まず、自転車は軽車両に分類される車の仲間ですので、基本的には車道を左側通行しなければいけません。

『右側通行』が違反となるのは、車両の死角になりやすい車道の右側を走行することは、逆走にあたる危険な走行になってしまうからです。車の流れと向かい合って走行している場合は、逆走をしているという認識が必要ですね」(浅川さん、以下同)

自転車の走行が可能な歩道の標識。歩行者優先で、ベルを鳴らして歩行者をよけさせるのは違反行為となる
自転車の走行が可能な歩道の標識。歩行者優先で、ベルを鳴らして歩行者をよけさせるのは違反行為となる
【写真】「自転車交通ルール」守れていますか?簡単なクイズでチェック!

 自転車を歩行者の仲間だと思っている人も多いが、基本的には自転車は歩道の走行は認められない。車道と歩道の区別がない道路も多いが、その場合も左端走行が原則だ。

標識などで歩道の通行が許可されている場合や、道路事情によってやむをえず歩道を通行するしかない例外的なケースはありますが、いずれも徐行することが大原則。

『徐行せずに歩道通行』というのは、歩道を自転車で通行する際には、いつでも停止できるスピードで、歩行者の邪魔にならないように走行しなければいけないということです」

 自転車はどの信号に従うべきかというのも、多くの人が間違いやすいポイントだ。

基本的には、車道を走行中の自転車が従うべき信号は車道用信号。車道が赤信号であれば自転車も停止線の手前で止まる必要があります。

 歩車分離式の横断歩道などでは、歩行者用の信号が青でも、車道用信号が赤であれば自転車は進むことができません

※写真はイメージです
※写真はイメージです

 しかし、歩道の走行が許可されている道路や、自転車横断帯がある横断歩道、信号に「歩行者・自転車用信号」と表記されている場合は、原則とは異なり、自転車は歩行者用の信号に従う必要がある。

間違った信号に従うと、意図的ではなくとも『信号無視』ということになり道路交通法違反となります。普段よく通る道の信号がどのようなルールになっているのか、調べておくことも大切ですね」

 意外に見落としがちなのが、路上の『止まれ』の標識や停止線。車両と同様に従わなければ、これも違反となる。

バイクなどと同様に、止まれの標識がある場所ではきちんと片足をつけて、速度0の状態で安全確認をしなければ『一時不停止』となってしまいます。歩行者や車との出合い頭の事故はとても多いため、たとえ面倒でもきちんと厳守すべきルールです」

※写真はイメージです
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 いずれも身の安全を守るために必要な規則。ただ、道路状況によっては守ることが難しい場面も多々あるが……。

自転車は、乗っているときは軽車両ですが、降りて歩行する場合には歩行者とみなされます。走行が難しいと判断した場合などには、自転車を押して歩くという選択をまず考えるべきでしょうね

 取り締まり強化の4つ以外にも、スマホのながら運転やイヤホンをつけての走行、傘差し運転や夜間の無灯火運転など、街中で見かける危険運転行為はとても多い。

「子どもも高齢者も自動車免許を持っていない人も、自転車に乗るときは車を運転しているという自覚が必要です。事故の加害者・被害者にならないためにも、いま一度自分の自転車の使い方が安全か、見直してみてください」

 ルールの厳守は皆の安全を守るため。「たかだか自転車の違反だ」という軽い認識は、もう通用しない。