「わからない芸が気持ち悪い」と評された時代の筆頭はタモリ

「“キモい”という言葉は'90年代の後半からよく使われるようになった言葉です。そういう意味で考えるといわゆるキモキャラは江頭2:50が最初ではないかと思います。“キモ”に“かわいい”がつく“キモかわ”も同じころから使われ始め、その流れに乗ったのがアンガールズです」(成田さん)

 とキモ芸人のルーツが'90年代からだと明かす。ただし、“気持ち悪い”枠は遥か昔からあった。その筆頭がタモリ(77)だ。

 タモリは'17年に『第68回日本放送協会放送文化賞』を受賞した際にデビューしたころの自分をこう評している。

《今でいうと江頭2:50と同じような扱いで何をするかわからないから、番組に呼ぶなという風潮だった》

何をするかわからない=気持ち悪い扱いという風潮はありました」と明かすのはバラエティー番組の元プロデューサー。

関根勤さんもラビット関根という芸名のころは何をするかわからず不気味という意味で“気持ち悪い”と言われていた時代があります。デビューしたころの関根さんの芸で“カマキリ男”というキャラクターがあったんです。萩本欽一さんはそれがお気に召さなかったようで関根さん本人に“おれはおまえが嫌い! おまえみたいな気持ち悪いやつとは仕事したくない”と2メートルも離れた距離から叫ばれたとか(笑)。

 関根さんはそれをショックというより正直な人だなと思い、なんとか懐に潜り込んでやろうと気持ちを奮い立たせ、6年後に『欽ちゃんのどこまでやるの!』に出演し、小堺一機さんとの『クロ子とグレ子』というキャラクターで人気となりました」