'22年最後の日。『NHK紅白歌合戦』、紅組でも白組でもない特別枠で『限界突破×サバイバー』を日本全国に届け、そして歌手活動の休養に入った氷川きよし。これからをどう見据えているのか──。
23年間、歌謡界の最前線を走り続けた“演歌界の貴公子”
'00年にデビューしてから、23年。休むことなく歌謡界の最前線を走り続けてきた。そんな自分自身を褒めたい気持ちもあるのでは?
「そうですね。自分が思っていた以上に、やってきたような気はします。求められるまま、その線路の上を歩いてきたような」
唯一無二の“演歌界の貴公子”としての活躍は誰もが知るところ。
「高校生のときは演歌志望ではなかったけど、私が歌うことで喜んでくれるなら、頑張って歌っていこう。その気持ちが原点だと思っています。喜ばれることがうれしくて、その期待に応えようと努力して、プロになって。氷川きよしがここまでやってこられたことに、心から感謝しています。ただその中で、自分がやりたいことをやってこなかったことに40歳過ぎてから気づいたというか」
人は誰だって変わるものだから
『限界突破×サバイバー』が(SNSで)バズった'19年以降は曲のジャンルにこだわらず、自分の心に素直に。次々と新たな一面を披露し、輝き続けてきた。
「人って変わるものだから。誰だってそうですよね?変わらない安心感というのももちろんいいけど、変化があったほうが新鮮で楽しいでしょ?
でも、どうしても“氷川きよし”には従来のイメージがあるから、今後の活動が限られてしまうとも思っていて。だから極端な言い方かもしれないけど、1回リセットするしかない。そんなふうに考えての休養というか」
歌手活動の休養を発表したのは'22年1月下旬。この1年はさぞ特別な時間だったのでは?
「長かったですね。もうひと頑張り、もうひと頑張りというか」
休養期間は決めてはいないが、アーティストとして活動意欲は高まっている。
「次にやりたいことがいっぱいあるので。ちゃんと自分で作詞したり作曲したりして、曲を作りたい。自分が着る衣装を含め、アーティスト性をもっと高めたいと思っています」
長らく曲の主人公の心情を理解し、演じるように歌ってきたが、近年は“Kiina”名義で『魔法にかけられた少女』や『Father』などの作詞を手がけている。
「演歌は主人公がいて、五行詩で表現する世界観を大切に歌うよさがある。一方で、自分で書いた詞の曲は自分が伝えたいことだから歌ったあとにやっぱり達成感があります。ちゃんと腑に落ちるというか。
だから、これからは歌手として、表現者として、自分が思っていることも正直に歌にしていけばいいのかなと思っていて」