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ー 1位 森保一監督(169票)、2位 新庄剛志監督(152票)
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ー 3位 原晋監督(48票)、4位 栗山英樹監督(44票)

 厚生労働省が'22年に発表した、新規大卒就職者の就職後3年以内の離職率は31.5%だった。離職の理由は給与などの待遇以上に、上司や先輩と馴染めないからという声が多かったという。

 どんなリーダー像を若者たちは求めているのか? そこで、ここ最近注目を集めているスポーツ界のリーダーたちの中から“理想の上司”をアンケート。全国20代~30代の男女600人に「上司になってほしいスポーツ界の監督」を聞いた。

1位 森保一監督(169票)、2位 新庄剛志監督(152票)

 169票で1位に輝いたのは、サッカー日本代表の森保一監督(54)。続いて僅差で2位にランクインしたのは、152票を集めた日本ハムファイターズの新庄剛志監督(50)。

「森保監督のような、選手ひとりひとりに対する心配りをしてくれるリーダーがいいなと思います」(京都府 女性 36歳)

「新庄監督なら失敗しても、明るくこちらが落ち込まないように指摘してくれそう」(埼玉県 女性 23歳)

 と、ふたりを選んだ人からは上司として期待する声が上がってきた。リーダー論に精通し、公認心理師、組織人事コンサルタントの小倉広さんは、

「リーダーにいちばん必要なものは、部下に“自己決定をさせる”ことです」

 と、指摘する。

「森保監督は、PKの順番や選手交代後のフォーメーションも選手たちに決めさせていました。自己決定させることで選手の主体性や責任感を高めることが可能になります。しかし古いタイプのリーダーはこれが極めて苦手です。

 要は自分で何でも決めたいんですよ。僕がかつて書いた『自分がやった方が早い病』という本があるんですが、まさに病気なんです(笑)」(小倉さん)

 そして、監督の考えを押し付けるような指導方法は“前世代”のものだと話す。

「今までのリーダーは自分の考えを選手に押し付けてきました。自身の選手時代の実績やカリスマ性で、人によっては極端に言えば暴力と圧力で従わせてきました。しかし、今や選手は効果につながる論理性が伴っていないとついてきません。

 リーダーに求められる資質が、押し付け型の“ティーチング”から、部下に考えさせ決めさせる“コーチング”に変わってきているんです」

 今までの“根性論”だけで猪突猛進に走っていくタイプのリーダーは受け入れられなくなっている、と小倉さん。しかし、「今の若い連中は根性がないからだ」という声も聞こえてきそうだが……。

「古いタイプの押し付けでやってきた人の言葉でしょうね。今の若い人たちは、SNSやネットを通じて上司以上に先端的なリーダーシップ論や脳科学、心理学など本質をわかっているんです。だから根性がないのではなく、バカバカしくてついていけないだけですよ」(小倉さん、以下同)

 また、ただ正しいことを言葉にするだけでは足りないと言う。

「合理的、論理的である上に、僕はエモーショナル(情緒的)、いわゆる“エモさ”が必要だと思います。例えば新庄監督はまさに“エモい”リーダーです」