全財産かけて起業し代表取締役になる

 もっと多くの人にこれを知ってほしいという思いから、内田さんは参加者が多く、きちんと謝礼も出る企業などでの講演を目標に据えた。

「そのためには肩書があるほうがいいと考え、2019年、手持ちのお金をすべて使って起業。私は代表取締役に就任しました。会社名は慣れ親しんだ『きいろいおうち』としたんです」

 内田さんの熱い思いを後押しする新たな出会いもあった。「経営者の勉強会での講演後、『待ちよみ子育ては、僕が食用バラや野菜を生産する方法とまったく同じです』と話しかけてくれたのが、農業生産者の横田敬一氏でした」

 興味を持った内田さんは、すぐに横田さんの畑を見学。「肥料も農薬も使わず、植物本来の力を信じ、時間をかけて見守る生産方法は、確かに『待ちよみ』と同じ。私は横田氏に共同経営者になってほしいと頼み、農業と絵本がコラボする場である『きいろいおうちfarm』を設立したんです

 その中にあるのが、内田さんの絵本が並ぶ書店。虫捕りをした子が図鑑を手に虫自慢を始めるなど、子どもがしたいことを自分で見つけ、自然に本を手にとる光景がそこでは広がる。

「親が導かずともイキイキと過ごす子どもの姿を目の当たりにすれば、『待ちよみ』の考え方がすっと腑に落ちるはず。ここを拠点として、誰だって幸せな子育てができることをもっと広めていきたいと思います」

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<取材・文/中西美紀>