「お嫁に行くまで全部やってあげようと」

歌手クリスタル・ケイ(36)を女手ひとつで育ててきたシンシアさん
歌手クリスタル・ケイ(36)を女手ひとつで育ててきたシンシアさん
【写真】クリスマスにライブを行った娘のクリスタル・ケイと母娘2ショット

「『LDH JAPAN』といえばEXILEや三代目 J SOUL BROTHERSさんらが所属する大手芸能事務所だから、娘には“お兄ちゃんがたくさんできていいじゃない?”と伝えました。

 事務所に託して、ホッとしたという気持ちはあるけど、今もライブの前はまず娘とセットリストを相談して、MCで何を話すか2人で一緒に考えています。そこはあうんの呼吸で長くやってきたことなので、私にできることがあればしてあげられたらと思って……。

 ステージにも基本的に立ち会います。目指すのはショーの精度で、いかに完璧なステージになるか、私は彼女にとってのベストを考えるだけ。感慨に浸っているような余裕はないけれど、曲を聴いていて一瞬ウルッとすることはありますね。それはお客様と同じ感覚かもしれません」

 移籍を機に、娘は東京で、母は横浜で、おのおのひとり暮らしを始めた。二人三脚で歩んできた母子にとって、新たな人生の始まりだった。

「距離はできたけれど、寂しくはないですね。しょっちゅう連絡を取り合っているし。といっても相変わらず業務連絡がほとんどだけど(笑)。

 結婚前から“もし娘が生まれたらお嫁に行くまで全部やってあげよう”と決めていて、今も実際そうしています。韓国ドラマを見ていると、よくお母さんが容器におかずを入れて持っていくじゃないですか。私も韓国の血なのか、やっぱりしちゃうんですよね。おかずをあれこれ作っては、娘の冷蔵庫にパンパンに詰めて(笑)」

 女手ひとつで娘を育て、シンガーとして世に送り出し、今なお陰ながらサポートを続ける。そんな母に対し、娘のクリスタルも全幅の信頼を置く。

「娘は『何年もかけて経験しないとわからないことも、ママに聞けばすぐわかる。それはすごくありがたい』と言ってくれています。母として、女性として、シンガーの先輩として、娘にはやりたいことをとことん悔いなくやてほしい。

 やっぱり娘が楽しそうにしているのが一番で、娘にもそう言ってきました。私自身ずっとそうしてきたし、だから娘が独立したとき、私ももう一度チャレンジしようと決めたんです」(次回に続く)

<取材・文/小野寺悦子>