草笛さんにとって、おしゃれを楽しむこととは?

「私はシンプルなものが好き。服もシンプルで良いので気持ちよく堂々と中身で勝負したいんです。だから、何でもない真っ白な木綿のブラウスが似合う女性になりたいとずっと思っていますね。ちょっとお利口そうに見えるでしょ(笑)。

 それで、スカーフなんかをうまく使ってみたり、アクセサリーを選んだり、それだけで印象もガラリと変わりますね。そうやって自分らしいものを着るようにしています」

 今でも颯爽とハイヒールを履く姿が印象的な草笛さん。『草笛光子90歳のクローゼット』の中で、「若いころ、つらいことがあると、靴を買って心を癒した」というエピソードを明かしているが、ちなみに現在は?

「今はありません。今なら負けません(笑)。お仕事ではハイヒールも履きますが、普段の靴は身体優先。転がってしまったらお仕事に影響するので気をつけています」

 靴に限らず、最近はコロナ禍で出かける機会が減ってしまって買い物にも行かなくなり、「去年は、ほとんど買い物をしていません」と語る。

「お仕事では相変わらず毎回違った洋服を着て、どう着こなすか戦っていますが、プライベートでは、洋服や靴を買う気がなくなって“おしゃれ”から遠のいてしまった気がします。

 そんな自分は女優としてダメだと思っていますが、『私はわたし』と居直っている自分もいます。年を重ねて、“たがが外れた”んです。人からどう見られたいとか、これじゃなきゃダメとか、そういったしがらみから解放されて、『いいじゃないこれで、なんか文句ある?』って。そのほうが楽ですから(笑)」