目次
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ー ドラマ『大奥』の過激な性表現
Page 2
ー プロデューサーとの3つの約束
Page 3
ー すべて確認して同意を得たことしかさせない

「やらない」のではなく「やるためにどうするか?」を考える

《大奥で原作の過激なシーンがドラマで苛立ちなく見られたのはインティマシー・コーディネーターさんのお陰なんだなぁ》

ドラマ『大奥』の過激な性表現

 現在放送中のドラマ『大奥』(火曜22時〜、NHK)が、性表現に過激な部分があり、ツイッターでも冒頭の投稿のように話題になっている。

 女人禁制の世界で、中島裕翔(29)演じる新入りの旗本が同僚に襲われるシーンや、冨永愛(40)演じる将軍・吉宗との夜伽の場面など1話目から表現が頻出。これらの際どい場面には、NHKが制作するドラマとしては初めて、インティマシー・コーディネーターが関わっている。

「公共放送であるNHKが起用したことは意義深いことだと思います」

 と、語ってくれたのは、インティマシー・コーディネーターの資格を持ち、『大奥』に携わっている浅田智穂さん。日本ではこの資格を取得した人はこれまでに2人しかいない。

 映画やドラマの中で“インティマシー・シーン”と呼ばれる、肌を露出するヌードシーンや共演相手と密接な接触をする性的シーンを撮影する際に、俳優の安心と安全を守り、監督が意図する表現をサポートする役目を担う。ここ数年、欧米の映画界やドラマ界で俳優たちによる性的被害の告発が続いたことを受けて、状況を改善するべく誕生したばかりの職業だ。

「以前は通訳という立場で作品作りに携わっていました。2021年に配信されたNetflixのオリジナル作品『彼女』で、日本で初めてインティマシー・コーディネーターが導入されることに。当時はまだ資格を持っている人が日本にいなかったので、私にやってみないかという声がかかりました。そこで撮影に間に合うように、オンラインで講習を受け、資格を取ることになったんです」(浅田さん、以下同)

 浅田さんはアメリカの専門機関Intimacy Professionals Associationにて資格を取り、コーディネーターとしての活動をスタート。わずか3年弱の間に、'22年『金魚妻』(Netflix)、『エルピス─希望、あるいは災い』(フジテレビ系)、『サワコ 〜それは、果てなき復讐』(TBS系)など、すでに20本近い作品に関わってきた。

「資格を取得したアメリカは俳優組合の力が強く、インティマシー・シーンの定義もはっきりしています。けれど日本ではルールがない状態です。例えばヌードの定義をとっても、アメリカでは男性の上半身裸はインティマシーにはなりません。ですが、日本では上半身裸になることに抵抗感を抱く方もいるので、俳優がインティマシー・シーンとして扱ってほしいということであれば、それを制作側に提案したり。そのあたりは柔軟性を持ってやっていますね」