また、甲子園大学副学長の伏木亨先生の研究チームは、「マウスが、油脂や糖と同じくらいかつおだしに"やみつき"の反応を示した」という研究結果を発表しています。ただし、市販のインスタントのだしは総じて塩分が高いですし、かつお節でとっただしと同様の効果が得られるかどうかもわからないので、手作りでだしをとることが大切です。

 だし汁を作るのがどうしても面倒という方は、食事の前に温かい麦茶やハーブティを飲むようにしてみてください。空腹時にカフェイン入りの飲み物を飲むと胃が荒れることがあるので、ノンカフェインのお茶がよいでしょう。あるいは、白湯をカップに1杯ゆっくり飲むようにしてみましょう。お腹が膨らみ、何も飲まないときよりは、満腹感が得られやすくなります。

 そもそも、温かい飲み物をとると、体が温まることで血流が良くなり、内臓の働きが高まるため基礎代謝も上がりやすいなど、いくつものメリットがあります。食事の前に冷たいビールを飲むのはもうやめましょう。変わりに、温かいだし汁を飲む習慣をつけて、無理なく体脂肪を落としていきましょう。

「夜に食べたほうがいい」あのメニュー

 年齢を重ねていくと、誰しも基礎代謝が落ちていきます。エネルギーが消費されにくく、燃えにくい体になるわけですから、どうしても太りやすくなります。

 そこで、50代以上の方のために、少しでもエネルギーを燃やすメニューを考えてみました。ここで注目したのは、食事誘発性体熱産生(DIT)です。

 体内に吸収された栄養素の一部が体熱となって消費されるため、食事をした後は安静にしていても代謝量が増えます。これがDITです。DITが高くなると、それだけエネルギーが消費されるので、当然、太りにくくなります。DITは、1日のうちでも変化があり、朝から昼にかけては高く、夜になると低くなることがわかっています。

 よく、「夜食べると太る」と言われますが、それは夕方から夜にかけてDITが下がることも理由のひとつなのです。ですから、1日のうちでも夕食について、できるだけDITが上がりやすい食べ方をすれば、肥満防止につながります。

 特におすすめしたいメニューは、唐辛子を使った温かい鍋物です。

 唐辛子を使った料理を食べると、体がほかほかして汗が出てくることがありますが、これは食事誘発性体熱産生のひとつです。舌の上にある辛み受容体に、唐辛子の辛み成分であるカプサイシンが結合し、それによって交感神経と褐色脂肪細胞(脂肪を分解して燃焼させる作用を持つ特別な脂肪細胞)が活性化して、熱が作られるのです。すると体が温まるので、血行が良くなり代謝も高まります。