叔父夫婦の養子になるも虐待される日々

 パチンコ中毒のうえ、ゴミ屋敷で暮らす祖母のもとでは幼い子どもは育てられないと、子どものいない実母の兄夫婦に引き取られることになった。

「ほかのインタビューでは『児童相談所が介入して、伯父さん夫婦に引き取られた』って答えてるんですけど、これはあくまで伯父さん夫婦の言い分で、ほんとのところはいまでもよくわからないんです。本当に伯父さん夫婦に救われたのかもしれないし、連れ去られたのか、単にたらい回しにされただけなのか……。いずれにせよ、引き取られて、養子にしてもらいました」

 しかし、新しい家族ともうまくいかなかった。伯母は怒ると手が出る人で「お前の母親に似ている」「いうこと聞かないなら死ね」と言って殴られたり、1日じゅう土下座をさせられたりすることもあった。

伯母さんがちょっと高飛車な人で、PTAとかでも嫌われていたみたいなんですよね。それに、若いうちに子どもを押し付けられたっていう不満もあって、いっぱいいっぱいだったんだと思います

 そのころの伯母さんと同じくらいの年齢になったあおいさんはそう話すが、心の痛みは消えない。

私、お風呂に入るっていう習慣がなかったので臭かったみたいなんですよね。で、伯母さんがそれを気にして、お風呂で全身を思いっきり擦り上げたんです。そしたらアトピーになっちゃって、1ヶ月くらい全身を包帯でグルグルにされ、ミイラみたいになってました(笑)

 そんなことに4年間耐えたが、小学4年生になったころついに限界に達し、家出を決意する。

「素っ裸で家を出されたときに『もう無理だ。逃げよう』と思いました。素っ裸のままで家を出るわけにはいかないので、いったん我慢しましたけど(笑)。伊豆に母の弟、叔父の家があったのですが、ある日3人で熱海に行った際に逃げ出しました。必死に走って、お父さんを探しました」

 父親に会えれば新しい穏やかな暮らしができると思っていたという。幸い、叔父夫婦はあおいさんの父親と連絡をとっていたため、電話番号を知っていた。

「お父さんに電話をしたら、『とりあえず会おう』と言われて、これで救われると思いましたね。会っていままでのことを話したら、音信不通だったお母さんを探し当てて裁判を起こしてくれて、親権が父親に渡りました。お父さんが神様に見えましたね」