どんどんデマが広まっていき

 上西が話す“あの騒動”とは、'15年に報じられた“不倫旅行”疑惑のこと。同年3月12日に議員仲間と居酒屋やショーパブなど3軒ハシゴし、翌13日は国会を欠席。14日から秘書と“ホワイトデー旅行”を楽しんでいたとされた。

秘書とは恋愛関係でも何でもないし、14日は自宅で療養していました。15日に京都の宮津を訪れましたが、近隣の町長や町議との意見交換会と支援者への挨拶のためでした

 そんな騒動の始まりは、週刊誌に書かれた1本の記事からだった。

党本部に“事実と違う記事が出ている”と伝えたら“こんな小さな記事は放っておいたら終わるから”と言われたので無視していました。そうしたら当時、大阪市長で『維新の党』の最高顧問だった橋下徹さんに、記者が私のことを質問したんです。すると橋下さんは“それなら除名だ”と言うんです。それをテレビで見ていた私は驚きました。だって私に何の事実確認もしていないんですから

 この橋下の“除名”発言から報道は過熱していく。

「橋下さんの“お墨つき”を得た事実のように扱われ、どんどんデマが広まっていきました。なので、私は事実を自分の口で説明したいと党に伝えたんですが“上西さん1人のことじゃないからダメだ”と言われてしまって……」

 放置したことで状況は悪化の一途をたどり、党も無視できない事態に発展。

「ある日、党本部に呼ばれて行くと橋下さんがいて、そこで初めて説明できたんですが、橋下さんは“大騒ぎになっているから、いったん議員をやめてくれないか? 事実かどうかはどうでもいい”と言うのです。“辞めたら次の選挙でも公認する”とも。本当に悪いことをしての除名なら公認しちゃいけないし、悪いことをしてないなら除名はおかしいことでしょう。これってパワハラですよ

 上西が納得しないでいると、

「記者会見をして、世間を丸く収めたら除名しない」

 という提案を橋下からされたという。

「それで会見を開きましたが、当時はすでにテレビで連日、私のことがボロカスに報じられ、大炎上していたので、当然、払拭されるわけもなく……。“不倫旅行”がデマだと判明したら、今度は“病気だろうと這ってでも国会に出るべきだ”という論調に報道が変わっていきました。結局、事態は収拾できていないとして、除名処分になったんです」

 ただ、国会を欠席した前日は議員仲間と飲み屋を3軒ハシゴしていたのは事実のようだけど……。

「私が楽しく飲んでいたと勘違いされていましたが、実は体調を崩している中を無理して参加していたんです。というのも、子宮頸がんワクチンの被害者救済のため、与党である自民党議員に協力をお願いするためでした