風邪や感染症の予防にも

 そこでおすすめなのが、平野先生も実践している「長生きうがい」。いつものうがいを少しパワーアップするだけの簡単なトレーニングで、口や喉の衰えを予防、改善できる。

 長生きうがいは、「お口筋トレうがい」と「喉トレうがい」の2つがある。

「まずは唇まわりの口輪筋や頬の筋肉が鍛えられる、お口筋トレうがいから実践してみましょう。食べ物がこぼれにくくなり、舌の筋肉も刺激できるため、むせや咳き込みの予防・改善に最適。また表情筋も鍛えられて顔のたるみ改善効果も期待できます」

 方法は、水を口に含んでカチカチと5回噛み、左右の頬に水を素早く10秒間往復、さらに前後に10秒間往復させて水を吐き出すだけ。

「1日3回程度で1〜2週間後には効果が表れるはずです。病院に来てくれた患者さんにもやってもらっていますが、みなさん半月ほどで『口が渇きづらくなった』『食べ物を飲み込みやすくなった』とおっしゃっています」

 喉トレうがいは、少し難易度が上がるが、飲み込みの動作をするときに使う声帯筋や喉頭筋を直接鍛えられるので、誤嚥性肺炎の予防に有効。お口筋トレうがいに慣れたら挑戦してみよう。

健康寿命を延ばす長生きうがい

「長生きうがいは普通のうがいよりも感染症対策への効果も期待できます。口の中の水にしっかり勢いをつけるので、粘膜に付着した菌やウイルスを流しやすいのです。私自身、長生きうがいを始めてからほとんど風邪をひかなくなりました」

 マスクの着用が個人の判断に任されることになり、新型コロナウイルスの感染が不安ないまにうってつけ。さらに、うつ病や認知症の対策にもつながる。

「話しづらくなって会話が減ると脳への刺激が激減し、うつや認知症も発症しやすくなります。口の渇きが気になって、少しでも話すのがおっくうと感じ始めた人は早急にトレーニングを始めてください」

 今のところ症状はないし、自分には関係ないと思っても、口の老化は40代から始まっているため、気づかぬうちにオーラルフレイルが進行しているケースも多い。さらに、コロナ禍での会話不足で悪化した人も少なくない。

「症状がある人は改善が期待できますし、症状がなくても早いうちから長生きうがいでオーラルフレイルを予防すれば、健康寿命を延ばすことにつながります」