それぞれの人にふさわしい店がある

「お客様は神様です」。三波春夫さんにより広く知られているこの言葉。それを笠に着て、店員に対して過剰な振る舞いを取る者は今も昔も少なからず存在する。

「ネットでは叩きに叩かれました」

 三浦さんのラーメン店には“アンチ”と呼ばれる人からの意見が多数寄せられている。その中には代表待ちする人のような強い言葉、“暴言”も少なくない。18歳未満入店禁止の実施以降、行列や売り上げに影響は出ているのか。

まったくないです。開店から絶えず並んでいただいています。逆に子ども連れがいない分、回転率が上がりました(笑)。ただ、うちの店は回転率は気にしていません。せっかく並んでまで食べに来てくれているんですから、ゆっくり楽しんでもらいたいと思っていますので

 行列でトラブルになるのであれば、記帳制にすればいいと考える人もいるかもしれない。主にファミリーレストランなどで採用されている、代表者の名前と人数を記入して待つ方式だ。

実は当初は記入式にしていました。でも、呼び出してもいなかったり、人数が足りなかったり、逆に増えていたりということがめちゃくちゃあったので、とにかく並んでもらう。食べたいなら全員並んで下さいという形にしたんです

 この記事を読んだ人でも、そしてその“理由”を読んだうえでも、三浦さんの店に良い印象を抱かない人もいるだろう。

「“なんで子どもはダメなんですか!”、“子どもだって食べる権利がある!”と言ってくる人たちがいます。でも、それぞれの人にふさわしい店ってあると思います。子どもを歓迎する大型店もある。座敷のあるラーメン屋さんもあるわけじゃないですか。そういう店があるじゃないか、わざわざ僕たちにすべてを求めるなと。そういう思いがあります。商売においてはターゲット層というものがあって、あなたたちは僕らのターゲット層じゃない。これはお断りする前から考えていたことです」

 ネット上では“ルールの厳しい店”と評されることもある。

「今では浸透したのか、“なんでダメなんだ”とか聞かれることはほとんどなくなりました。暴言を吐かれることもなくなりました。3月はたぶんオープン以来初めて代表待ちゼロ、暴言ゼロになりました。だから結果オーライです!」

 SNS上では今でも三浦さんの店に否定的な声もあるが、代表待ちによって自分の前に割り込まれた経験者たちから「よくやってくれた」という声も同程度ある。

 三浦さんは最後にこの厳しいルールについて、次のように話した。

マナーさえ守ってもらえたら、本当はこんなルール作らなくてもよかったし、作りたくなかったです。お客様は神様ではない。“神様に見えるぐらいありがたいお客様がいらっしゃる”の間違えじゃないでしょうか?

 ルールは店側が決めるもの。客はそれが気に入らなければ、行かなければ良い話だと言う。ビジネスは基本的には“結果(数字)”がすべてであろう。

 ルール制定後も行列ができている。この結果がすべてであろう。