予想外に約束を守ったフィル「Will you marry me?」

20歳ごろのシンシア。トニーがドライブデートの際に撮った写真。ファーに白のパンツやブーツという格好が懐かしく時代を物語る
20歳ごろのシンシア。トニーがドライブデートの際に撮った写真。ファーに白のパンツやブーツという格好が懐かしく時代を物語る
【写真】20歳ごろのシンシア、ファーに白のパンツやブーツという格好が懐かしく時代を物語る

 45日後、フィルがアメリカでの休暇を終え帰国。シンシアの予想とは裏腹に、フィルは約束を守った。妊娠したことがわかりパニックになってしまった

「『彼女ときちんと別れてきた』と言って、ハイスクールリングを私に見せてくれました。そしておもむろにひざまずき、胸元からリングケースを取り出した。パカリとケースを開けると、婚約指輪と結婚指輪が2つセットで並んでいます。

『Will you marry me?』と、フィル。アメリカ映画でよく見かける、まさにあのシーンです。人生二度目のプロポーズでした。

 まずは親に結婚を認めてもらおうと、フィルを連れて日吉の実家へ行きました。すると母に『あんたのことは産まなかったと思うことにします』と言われてしまった。父は母の横でじっと黙ったままうつむいていました。

 2人とも私が黒人と結婚するのがイヤだったようです。朝鮮人ということでずっと差別されてきたのに、今度は自分たちが黒人を差別するのか。差別ってそういうものなんだと思った。それでも親に結婚を認めてほしくて、何度も何度も実家に通いました。でも結局受け入れてはもらえませんでした」