フォトグラファー鮫島亜希子氏、インドでの危機

インドでゲストハウスに宿泊した際、深夜にゲストハウスのオーナーが合鍵で解錠して部屋に侵入してきました。そのときは思わず日本語でブチギレて、股間を蹴り上げて追い返しました。そのゲストハウスはガイドブックなどに載っておらず、駅前の怪しげなリキシャ(タクシー)の若い男の子が連れて行ってくれたところだったので、やはりちゃんと調べた上で評判のいい宿に泊まることが大事です」(鮫島亜希子氏、以下同)

 他に行くあてもなかった彼女は、たくましくもインド人オーナーの股間を蹴り上げたあと、そのまま宿泊したという。が、他にもシャレにならないような経験がある。

インドの砂漠の街で、道を聞いたら人気のない坂道を教えられて。その道を歩いていたら、さっき道を聞いた若者数人が走って追いかけてきて、私を押し倒して襲おうとしてきた。これはもうダメだと諦めかけたのですが、近くにあった祠のような場所の管理人に助けられて、事なきを得たことがあります。

 あとは同じくインドで“クンブメーラ”と言われる世界最大級の宗教行事があるのですが、そんなすし詰め状態のお祭りの取材中のこと。夢中で写真を撮っていたら、人だらけの混乱に乗じて、正面から激しく胸をもみしだかれた経験もあります」

マンモグラフィ並に力強かった」という握力を思い出しながら、「海外では、いつなんどきでも、隙を見せてはならないーーー。これが私の教訓です」と教えてくれた。

 旅文学の大傑作『深夜特急』を書いた作家の沢木耕太郎氏は「恐れずに。しかし、気をつけて」というメッセージを読者に送っている。世界を旅するバックパッカーが現地で得られる、人との関わりはもちろんプライスレス。しかし、何かあってからでは遅いのだ。