ただ、その流れでいうと、気になることがもうひとつ。もしかしたら、世間は渡辺にかつてほど興味を持っていないのではないか。

 ここ数年はこれといったヒット作もないし、話題を集めたのは5年前の『ハズキルーペ』のCMくらいだ。年齢も63歳。大物として尊重されつつも「過去の人」扱いに変わっていく人生の季節ともいえる。

「不倫の目が肥えた」日本人

 また、今回の結婚はいささか地味だ。最初の相手も一般人だったが、や渡辺大が生まれたし、次の相手は大物女優。これは芸能界あるあるで、どんなスターも3度目となると結婚に派手さがなくなる。松田聖子しかり、郷ひろみしかりだ。それは人生が落ち着くということでもあり、渡辺もこの再々婚で落ち着くかもしれない。

 なお、今回の相手は不倫発覚時、ジュエリーデザイナーと報じられたが、知り合った時点では大阪・北新地のホステス。それゆえ、ネットでは「ハリウッドスターなのに(笑)」という声も出た。たしかに、こんな感じの不倫なら、一般の会社員でもできそうだ。

 ついでにいえば、フレンチシェフやらキャンドルアーティストやら、キャラの立った人物が登場する広末の不倫劇に比べたら、インパクトにも乏しい。思えば「ゲス不倫」以降、日本人はさまざまな不倫劇を観賞してきた。ある意味、目が肥えてしまったことによって、この程度の不倫はもはや面白みがなくなり、その相手と結婚しようとしまいとわりとどうでもいいことなのだろう。

 もちろん、それは渡辺謙が功成り名を遂げた大スターで、今さらただの不倫で評価が激変する存在ではないことを世間が認めているからでもある。人によっては命取りにもなるスキャンダルが「ただの不倫」になってしまうあたりが「世界のワタナベ」たるゆえんかもしれない。

ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。