見た目でわかる前兆

 全身鏡でセルフチェック 前兆ポイント

「顔や体形など急な容姿の変化でも病気の予兆をキャッチできます。お風呂上がりなど、裸のまま全身が映る鏡で定期的に自分の身体をチェックすることで、違和感を見つけやすくなりますよ」

 体調の悪さや痛みなどと違い、見た目の変化は本人以外でも確認可能。家族の健康チェックにも役立てて!

痩せていくのはがんのサイン!?

「さまざまながんに共通して起きる兆候の1つは体重の減少。ダイエットもしていないのに“痩せた!”と喜ぶのはとても危険です」

 と警告する森先生。がんができると、そのがん細胞が体内のタンパク質や脂肪、筋肉といったエネルギーを使って大きくなるため、何もしなくても体重が減ってしまうと解説する。

「運動や食事制限といったきっかけもなく半年から1年以内に5%以上体重が減少するのは、医学的に正常といえません。“急激な体重減少は、がんかもしれない”という意識を持って定期的に体重を量ってください」

乳房のしこりだけじゃなくエクボに注意

 触って確認できる“しこり”が乳がんのサインとして有名だが、それ以外にも見逃してはならないポイントが。

「皮膚が引きつれて、乳房に“えくぼ”のようなものができていたら、それはがん細胞が皮膚を巻き込んでできたものかもしれません。

 また、乳頭から血のまじった分泌物が出るのも注意したいがんの兆候。乳がんは、自分で症状を見つけやすいがんなので、ぜひ日常的にチェックを」

左右非対称、色がまだらは“偽ホクロ”かも

「ホクロに似た皮膚がん(悪性黒色腫/メラノーマ)と、ただのホクロの見分け方を知っておけば、早期にがんを発見できるため部分切除だけの処置で済むことがあります」と森先生。注視したいのは、非対称、境目がはっきりしていない、色がまだらのもの。

「なかでも直径6mm以上のものは、定期的に注意深く観察してください。色や形、大きさに変化が見られたら、それはホクロではなく皮膚がんかもしれません。一度、皮膚科で相談しましょう」

片方の足のむくみは肺塞栓の一歩手前

 たかが“むくみ”と思いがちだが、慢性的になると大病を疑うべし。

「肝臓や腎臓、心臓の機能が弱まると全身にむくみの症状が出ます。体内の水分は重力によって下半身にたまっていくので、特に足のむくみが顕著に。肝硬変、腎不全、心不全の可能性もあります」

 すねや足の甲を10秒押して凹んだままになったら、むくんでいる証し。内臓系の不調は両足にむくみの症状が出る。

「片側の場合は脚の静脈が詰まる深部静脈血栓症などの心配も。できた血栓が肺の血管に回り、肺塞栓(そくせん)症(エコノミー症候群)を引き起こして意識を失うこともあります」

爪が白く濁ってきたら心不全の兆候

「爪は、さまざまな病気のサインが出る部位ですが、特に大病の兆候としてチェックしてほしいのは色。爪全体が白くなるのは、心不全、腎不全、肝臓の不調などの症状の1つ。

 また、縦に黒い線が入っていたら、皮膚がんの初期の兆候。色素沈着で起きていることが多いですが、線の色が濃くなっていったり、太くなっていくようであれば念のため皮膚科の受診を」

目の下が白い・黄みがかる

 肌が黄色くなる黄疸は、肝臓の疾患や膵臓がんを示唆する症状の1つ。ただし、肌の色や日焼けなどにより、その変化は見逃されがち。

「身体の色の異変は、あっかんべーをして目の下の眼球結膜の色を確認するのがわかりやすくておすすめ。黄色っぽくなっていたら黄疸、白くなっていたら重度の貧血が疑われます。

 女性は貧血になりやすいので気にかけておいてください。大腸がんで出血が続いて貧血になるということもありますので、変化を見逃さないことが大切です」