目次
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ー 亡くなった夫の妻が語る、事件前の「2人の関係性」
Page 2
ー 事件を思い出して包丁が握れない
Page 3
ー 被害者家族になった今、伝えたいこと

「今月で事件から1年を迎えます。とても苦しい時間でしたが、そんな私を温かく見守ってくださった方々、私に関わってくれた多くの人にお礼を言いたい。人間のやさしさに触れ、すごく助けられました。本当に感謝しています」

 2022年7月、東京・秋葉原で、6代目山口組傘下の暴力団組長・山中健司氏(当時34)が、刃渡りおよそ20センチの包丁で刺されて死亡した。殺人容疑で逮捕されたのは、コンセプトカフェのコンサルタント業などを営む一般人の佐々木文俊被告(36)だった。

亡くなった夫の妻が語る、事件前の「2人の関係性」

 冒頭で感謝の言葉を述べるのは、その極道の妻・ユキ(仮名)さんだ。

「夫が社会に受け入れられない職業であったことは、重々理解しています。ただ、事件当初に出た報道は、私たちが見てきた事実とあまりにも違いすぎていた。佐々木は一般人でしたが、夫の“側近”であり“友人”でした。本当にいつも一緒で……。だから私の言い分を記事にしていただけて、ありがたかったです」(ユキさん、以下同)

 秋葉原で犯行を行った佐々木被告は、その足で警視庁万世橋警察へ出頭した。翌月に殺人罪などで起訴されたが、報道を見たユキさんは、あ然とする。

「佐々木被告は、山中組長と知り合うも暴力団員とは知らなかった。傷害事件で逮捕されたことを機に、その事実を知った。そこから一転、キャバクラやコンセプトカフェのコンサル業を営んでいた佐々木容疑者に対して、山中組長は金銭の要求をするようになったようです。2018年夏からの4年間で、佐々木被告は総額約8000万円を支払ったとされています」(全国紙社会部記者)

 昨年12月に『週刊女性PRIME』(【秋葉原・暴力団組長刺殺事件】被告の証言「組長から脅しを受けていた」に“極道の妻”が反論「犯人は夫の側近であり、親友だった」)で報じたが、ユキさんの証言から浮かび上がった被告と被害者の関係は、佐々木被告の供述内容とあまりにも食い違っていたのだ。ふたりをよく知る関係者の男性も、

「ふたりがお互いを信頼し合っていたのは、周囲にいる俺たちにもヒシヒシと伝わってきていました。

 朝まで飲んでベロベロに酔っ払ったときのこと。“夕日だな”という組長に対して“キレイな夕日っすね~”と返す佐々木とのやり取りなんて、俺たちが“朝日ですよ!”と突っ込めないぐらい、ふたりだけの世界観に浸っていた。しょっちゅうふたりで飲みにいっていて、いつも一緒だった。それぐらい仲が良かったんですから」

 と話し、続ける。

「ボス(※編集部注:山中組長のこと)が管轄していた錦糸町から新たに新橋に参入するにあたって、勢力争いがあったようです。そこで、毎日ケンカになって、ボスと一緒に佐々木も立ち向かっていった。見せてもらった写真では、佐々木が松葉づえをついているのもありました。ただそれは、佐々木自身も誇らしい思い出として語っていたんです。苦しい時もあったけど、それを乗り越えてきたからこそ、ふたりは“特別な絆”で繋がっているんだと感じていました」(同・関係者男性、以下同)

 脅しや暴力といった類はなかったのか?

「ボスもヤクザの世界に身を置く人ですから、暴力がいっさいなかったとは言わない。俺も1回だけ、ボスが佐々木を2発ほど殴るところを見たことがあります。でも、それはビジネスパートナーでもあったから。ボスは“俺は金勘定ができないから、佐々木に任せているんだ”と話したことがあり、佐々木にミスがあった時は怒ることもあった。しかし、それが頻繁にあったかというと、そうではありません」