「『川では泳いではいけない』という情報がありますが、強い流れを回避する場合は泳ぐ必要があります。ライフジャケットを着用した状態であれば、リスクを軽減しながら泳ぐことを推奨すべきです」(菅原さん)

川遊びに必要な「3つの情報をチェック」

事前や遊んでいる最中にも情報の確認は欠かせない。

(1) 遊びに行く川の特徴をチェック:前述の水難事故マップで過去の河川等水難事故発生地点を確認する。事故が多発している箇所は地形や川の構造、利用状況等に特徴がある。また、河川構造物があったら近寄らないこと、飛び込まないことを確認する。

(2) 天気予報をチェック:遊びに行く川の天気を知る。遊ぶポイントが晴れでも、上流で雨が降れば、その水が下流にやってきて増水する。雷雨など急な気象変化について、自分が遊んでいる場所とその上流を常にチェックする。

(3) 水位情報をチェック:川の防災情報では、全国の河川の水位などがわかる。水量が多ければ流れも強くなるから注意が必要だ。

 菅原さんは、「子どもたちは川と触れ合ことで、さまざまなことを学ぶことができます。決して意のままにならない自然や生物と向き合うことで創造力が養われます。そのためにも川や水の特徴やリスクを知り、事前の準備と安全管理をすることが重要です」と語る。

 夏休みは始まったばかり。「水辺の安全ハンドブック」(2023年版)を家族で確認して、水のレジャーを楽しんでほしい。


橋本 淳司(はしもとじゅんじ)
Junji Hashimoto
水ジャーナリスト
武蔵野大学客員教授。アクアスフィア・水教育研究所代表。Yahoo!ニュース個人オーサーワード2019。国内外の水問題と解決方法を取材。自治体・学校・企業・NPO・NGOと連携しながら、水リテラシーの普及活動(国や自治体への政策提言やサポート、子どもや市民を対象とする講演活動、啓発活動のプロデュース)を行う。近著に『67億人の水』(日本経済新聞出版社)、『日本の地下水が危ない』(幻冬舎新書)、『100年後の水を守る 水ジャーナリストの20年』(文研出版)、『水がなくなる日』(産業編集センター)など。