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ー 自身の触診で早期発見、「がん友」が支えに

 忙しく働く著名人にも闘病経験者が多い乳がん。今や日本では、日本人女性の9人に1人が罹患するといわれている。しかし、早期発見できれば、がんの中でも生存率は高い。がんサバイバーがどのように乳がんを見つけて治療をし寛解に至ったのかをご紹介。病に負けない令和の生き方とは──。

 2007年の46歳のときに健康番組の収録中、胸に小さなしこりを見つけた山田邦子さん(63)。祖母が乳がんだったため、毎年受けていた人間ドックを、3年ほど受けていない中でのことだった。

自身の触診で早期発見、「がん友」が支えに

 数日後には乳腺外科のある病院で細胞診を受ける。翌日に検査結果がわかり、乳がんであることが確定した。

「そのときは『ウソであってほしい』と『やっぱりね』という気持ちが入り乱れていました。けど、それほど動揺はなかったんです。『いつまでも落ち込んでいるより、次の方策を考えなきゃ』という気持ちのほうが強く、今、何をすべきかを担当医に相談しました」(山田さん、以下同)

 サイズは非常に小さかったものの、最終的に3個のがんが見つかる。さらに1度目の手術でがんを取りきれず、手術は2度行われた。

「悲しみのどん底に突き落とされたり、一筋の光を見いだしてすがったり、それが無駄とわかって孤独感を味わったり……。さまざまな感情が交差しましたが、担当医に手術が成功したと聞いたときは、健康に向かって突き進んでいると思えました」

 その後、28回の放射線治療を経て、5年間ホルモン治療を行った。現在も服薬は続け、病気と向き合い続ける。

 それには、乳がんのカミングアウト以来、同じ乳がん患者や元患者の「がん友」との出会いが大きかったと語る。

「全国にいるがん友が、私の心と身体を強くしてくれる大きな要因になりました。たくさんの励ましの言葉、具体的なアドバイス、同じ思いを共有する人がいるという安心感は、私の支えです」

 がん友に恩返しがしたいという思いから発足したのが「スター混成合唱団」だ。メディアで活躍している人が集まり、ボランティアで定期的に開催している。

乳がんがわかる前は『今日、思いっきり働き、めちゃくちゃ遊び、いつ死んでもいい』という考えでした。けれど、今は今日生きている幸せと、明日が来る幸せを日々噛みしめています。これからは小さくても夢を持ち、その実現に向かって、私らしく頑張っていこうと思います」

(構成・文/鈴木晶子)