戦後生まれの遺族代表の強い思い

同日正午、献花台の前で戦没者に黙祷を捧げられる際、雅子さまは半眼のまなざしで
同日正午、献花台の前で戦没者に黙祷を捧げられる際、雅子さまは半眼のまなざしで
【独自写真】愛子さま、扇子を持ちながらキレキレのダンスを披露

 青森県の遺族代表として出席した菊池正紀さん(73)は、両陛下と同じく戦後生まれだ。

「私の父は戦争からは帰ってくることができました。しかし、戦地で受けた銃痕が脊髄に残り、それが原因で働くこともできず、苦しんで亡くなりました。そんな父の姿を見ていたので、戦争の記憶を忘れたくないと思い、追悼式にはなるべく出席するようにしています。戦争のご経験がない世代であるとはいえ、両陛下には不条理な歴史を風化させないためにも、必ず出席していただきたいと私は考えています。式中のおふたりの表情からは、おことばにもあった“深い反省”の意が強く感じられました」

 緊張感のある式典の中で、雅子さまの表情に変化が見られたのが正午から1分間行われる“黙祷”の場面だった。

雅子さまは、目を少し開いていらっしゃいました。黙祷は目をつむるイメージですが、実際は“声を立てずに祈る行為”を指します。目を開くことはマナー違反になりません。

 雅子さまは黙祷の最中、先の大戦での戦没者に想いを馳せるだけでなく、悪化する世界情勢下で苦しむ“今、困難にある人々”にも目を背けることなく祈りを捧げられていたように見えました」(前出・皇室ジャーナリスト)

 雅子さまの“半眼の祈り”には、国母として世界平和を望む強い思いが込められていたに違いない─。

山下晋司 皇室解説者。23年間の宮内庁勤務の後、出版社役員を経て独立。書籍やテレビ番組の監修、執筆、講演などを行っている