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ー 1匹の野良猫との出会いで人生が激変
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ー 猫たちを救うため「ノラネコ割」を考案

 週刊女性にて好評連載中の漫画『ハイツ祐天寺へようこそ』(画:柏屋コッコ/原作:小林のえ)は、東京の祐天寺が舞台。その街にリアル「ハイツ祐天寺」ともいえる、と共生できる賃貸アパートがあるという情報をキャッチ! 

 バラエティー番組『坂上どうぶつ王国』(フジテレビ系)でも話題になったアパートで、つくったのはGatos Apartment代表で専用賃貸プロデューサーの木津イチロウさん。一体どんなアパートなのか、お話を伺った。

1匹の野良猫との出会いで人生が激変

「もともとは普通のサラリーマンだったんです。でも2008年、1匹の野良と出会ったことで人生が変わりました。当時妻と住んでいた東京都内の賃貸物件の庭に野良が来て、チーと名づけて可愛がっていたのですが、ある日、目がふさがっている子を連れてきちゃいまして」

 木津さんは子を病院に連れていき、ウーと名づけて、母子ともに一時的に保護することにした。しかし1か月後、さらに木津さんを慌てさせる出来事が発生する。

「妻の呼び声で駆けつけたら、チーが3匹の子を産んでいた。当時の僕たちは無知で、が年に平均3回、1回につき平均6匹も出産するなんてまったく知らなかったんです」

 かくして計5匹のを抱えることになってしまった木津さん。住んでいたのはペット不可の物件だったこともあり、良心の呵責を感じてペット可賃貸への引っ越しを決意。しかし、と暮らせる希望どおりの物件はまったく見つからなかった。

「途方に暮れていたところ、不動産屋さんから『ペット共生型物件が見つかった』との連絡が届きました」

 あまり聞き慣れない言葉だが、「ペット共生型物件」とは単なるペット可物件とは異なり、人とペットが共に暮らしやすい工夫がなされた物件のこと。『ハイツ祐天寺へようこそ』に出てくる「ハイツ祐天寺」もそうで、脱走防止柵、防音設備、ペットドア、出窓など、建物の随所に工夫が凝らしてあるという設定だ。

「そのとき初めてそういう物件があることを知りました。でも、当時僕が見に行ったペット共生型物件は完全に犬向けのもので。犬とってまったく違う生き物で、それぞれ必要なものも異なりますよね」

 そして、木津さんは決意する。「ないなら、自分でつくってしまえばいい!」と。しかも自分たちだけでなく、他の人も住める住まいにしようと。

「僕たちだけでなく、他にも困っている人は絶対にいて、つくったら喜んでくれると思ったんです。そして家賃収入も入ってくれば、それは事業になるなと。でもある意味、たちに人生を狂わされて、住宅を建てるための借金を背負わされることになったともいえるんですけどね(笑)」