目次
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ー 婚姻期間中に配偶者が死亡した場合は継続される
Page 2
ー 最終手段として死後離婚を検討を
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ー 死後離婚のデメリットは

 “熟年離婚”ならぬ“死後離婚”、聞きなれない人も多いだろう。「まだ一般的ではないため、誤解も多いのが現状です。通常の離婚と違って、手続きしたら取り消せないので注意を」と、弁護士の後藤千絵さん。死後離婚のメリットとデメリットは?不仲な義父母と縁を切りたい人は要チェック!

婚姻期間中に配偶者が死亡した場合は継続される

 夫に先立たれ、仲の悪い義父母や親戚との関係だけが残ったとしたら、気が重いはず。そんな事態を避けるために、“死後離婚”を選択する人が増えているのをご存じだろうか。

「死後離婚とは、配偶者の死後に『姻族関係』を終了させる手続きを指します。姻族関係とは一方の配偶者と他方の配偶者との血族の関係のことで、妻から見た場合、夫の両親や兄弟姉妹との関係が姻族関係です。

 姻族関係は離婚をすれば終了しますが、婚姻期間中に配偶者が死亡した場合は継続されます。それを完全に断ち切れるのが死後離婚です」

 こう説明するのは離婚問題に詳しい弁護士の後藤千絵さん。法務省戸籍統計によると、直近2021年の死後離婚件数は約3000件にのぼる。10年前の1.5倍に達し、一時期は5000件に迫る年もあった。

増加の背景には、核家族化による希薄な親族関係が影響しているのでしょう。義理の親と同居せず別々に暮らしてきたにもかかわらず、夫の死後、介護や扶養を頼られたら、困ってしまうのは当然です。

 ましてや不仲の関係だったら、同居していた場合も含めてその思いは強くなるもの。結果、死後離婚を選ぶということが考えられます」(後藤さん、以下同)

 ただし、やみくもに選択するのは好ましくない。死後離婚はいまだ広く認知されていないため、誤解されているケースも少なくないからだ。

「死んだ夫との離婚と勘違いしている人は多いです。そもそも離婚は夫婦が共に生存していなければ行えません。前述したとおり、義理の親やきょうだいなどと縁を切る手続きと認識してください。それでも実際は、生前の夫との不仲が理由で踏み切る人も一定数はいると思います」