「自分には関係ない」と思い込むため…

 心理カウンセラーの小出真澄さんも、

「凶悪事件が発生したときに、人は自分とは関係のない出来事だと思い込もうとする心理が働きます。自分の身にも降りかかると思いたくないから、無意識に被害者の落ち度を探し“あの人が悪いから殺された”と……。それが行きすぎると被害者を誹謗中傷するまでに至ってしまうんです」

 前出の千葉さんも、

「まさに“やられるほうが悪い”という理論ですよね。痴漢に遭えば“そんな格好してるほうが悪い”、いじめられると“でもあの子にも原因はあるんじゃない?”と言われるのと一緒です。その行為がいちばん被害者を傷つけていることに気づかず、自分の心の平安を保つために被害者の落ち度を探してしまう。

 特にお子さんが被害に遭われるケースは両親への誹謗中傷が発生することが多いです。お子さんを四六時中、見守ることなんて誰にもできません。自分の子どもが被害に遭ったら、と考えるとたまらないのでしょう。“見ていなかった親が悪い”という発想になってしまうんです」

 いじめにより命を落とした児童の両親を誹謗中傷して逮捕された30代女性が、『週刊女性』の取材に当時の気持ちを明かした。

「ご遺族は何も悪くないのに、ちょうど私にも亡くなられた子と同年代の子どもがいて、いじめっ子側の気持ちになってしまったんです。いじめっ子のレッテルを貼られて将来生きづらいだろうなとか、そんなことを自分の子どもに置き換えて考えて。でも私が逮捕され、かえって子どもを傷つけてしまった。愚かだったと反省しています」

 事件や事故は対岸の火事ではない。