また、離婚申請の引き金となった、プライベートジェットの中でピットからDVがあったという主張も、機会があるごとに引っ張り出している。この出来事の直後にはFBIや児童擁護の団体が捜査をし、問題はなかったと判断された。しかし、ジョリーはそれに満足しておらず、彼をDV男として世間に知らしめたいようだ。

 離婚裁判の最中の2021年、ジョリーは「DVがあったという証拠はある」と裁判所に新たな書類を提出して注目を集めたし、ワイナリーをめぐる訴訟にも、その件を持ち出した。

 カップルだった頃、ピットとジョリーは南仏にワイナリーのある不動産を購入し、ピットはこのプロジェクトに全力を注いだ。その結果、彼のロゼワイン「シャトー・ミラヴァル」はアメリカのスーパーやワインショップで必ず見かける人気ブランドになった。

ワイナリーの半分の権利はロシア企業に

 だが、ジョリーはピットに相談することなく、自分が所有する50%の権利をロシアのストーリ・グループに売ってしまったのである。ピットによれば、ジョリーはこのワイナリーにほとんど関与しなかったし、投資した額もピットのほうが5000万ドルは多かった。ジョリーは、彼が手塩にかけたそのブランドの半分を渡す相手としてロシア企業を選んだのだ。

 ピットがこの件でジョリーを訴えると、ジョリーは、当初、「自分のシェアはピットに売るはずだったのだが、ピットがDVについて口外しないことを条件にしてきたため、売買が成立しなかった」と反論した。その書類の中で、彼女は、プライベートジェットの中で受けたという暴力をこと細かに描写している。

 もし彼女の言う通りであればピットは相当にひどい男だ。しかし、ピットに近い人は、「L.A.Times」に対し、「彼女は6年前のことを、ありもしなかったことを付け足しながら、焼き直し、想像し直し、書き直しては嘘を言い続ける。自分が望むものを手に入れるまでそれをやるのだ」と語っている。秘密保持条件について話が出たのは事実ながら、DVとはまるで関係なく、ビジネスの内容についての基本的なものだったという。