ゼロからの再出発「ICONIQ」の衝撃

 Sugar以降のアユミさんは、日本でソロ活動をスタートする。

「20代になって、役者としても活動したいと思いました。そんなときに事務所を通じてエイベックスの松浦勝人社長(当時)に出会ったんです」

 エイベックス・エンタテインメントに移籍し、単身ロサンゼルスに演技留学。帰国後、本格的に俳優としての活動を開始した。舞台やCM、さまざまなオーディションを受けたが、なかなか芽が出ない。俳優としてだけではなく、歌手としての活動も並行して行うなか、大胆な行動に出ることにする。

「松浦さんが冗談半分に『髪の毛をバッサリ切ってみたら』と言ってくださって。私はそれまでアイドルとして活動していたので、そのイメージを払拭させたかったし、大人の女性なりの雰囲気を出していきたいと思っていた時期だったので、やっちゃいました(笑)」

 ベリーショートとなりアーティスト活動の準備をしていたころ、運命の瞬間が訪れた。

「とあるCMのエキストラをしていた姿を資生堂さんが見つけてくださって、お声をかけていただいたんです。当時の資生堂さんが新ブランドとして展開する予定だったコスメのコンセプトが『自分の人生を変えてくれるようなコスメ』というもので、私のその姿とマッチしたんだと思います」

 韓国では人気アイドルとしてマネージャーや付き人もいたが、日本ではゼロからの再出発中。番号で呼ばれるようなエキストラだった女性タレントが、雑誌やテレビを賑わせた「ICONIQ」として生まれ変わる。出演したCM・歌共に話題を呼び、再びのブレイクを果たした。しかし、その売れ方には葛藤も多かったという。

「ICONIQはミステリアスな存在として売り出されたのですが、このとおり私はおしゃべりするのが大好きで(笑)。本当の自分と、街中の看板にいるベリーショートの『ICONIQ』という存在のギャップが、受け入れられない時期もありました」

 自分の言葉を伝えることが叶わない状態が続き、もどかしさを感じていたという。

「勝手なイメージが広がるのがとても嫌だったので、自分の言葉で話す機会をつくってほしいと事務所に頼んだことがあります。その結果、深夜のラジオ生放送に出させていただけることになり、初めてたくさんおしゃべりさせていただき勝手にスッキリしていたこともありました(笑)」