野鳥の死がこれほど問題化するのはかなり珍しい

 冒頭の自然愛好家も野鳥の死がこれほど問題化するのはかなり珍しいという。

「1981年、広島市の平和記念公園で、園が飼っていたハト65羽を、市が委託していた民間の清掃がひき殺したときぐらいではないか」

 その後、清掃の運転手は動物管理法違反(保護動物であるイエバトの虐待)を問われ、罰金を支払ったというが、

「今回も、容疑者はおそらく起訴されず、罰金刑になるはず。だが、言い方は悪いですがその程度の事件とも言えますよね」

 ある弁護士も、今回の逮捕は解せないと語る。

「むろん、無闇に動物を殺傷するのは許されるわけではないが、いくら故意だったとはいえ、顔をさらし、名前まで公表するのは疑問。見せしめのように思える」

 一部報道では、警視庁新宿署がこの事件に関して「徐行したりクラクションを鳴らしたりせず、スピードを出してハトをひいた。プロの運転手で、模範になる運転をすべきだった」と説明したとも。

 やはり、警察側には見せしめの部分もあったのかもしれないが、それでもなぜここまで主にテレビで大々的に報じられたのか?

 理由の一つとして考えられるのは、この事件を約239万人のフォロワーを誇るインフルエンサー・滝沢ガレソ氏が面白おかしく取り上げたこと。テレビ局関係者は、こう話す。

「ワイドショーは常にネタを探して、スタッフたちはX(旧Twitter)をパトロールするのが日課。この事件に関するガレソ氏の投稿のインプレッション(投稿が表示された回数)は驚異の1600万越えでした。そもそもガレソ氏もテレビで報じられた本件を取り上げたのですが、その投稿が大バズりしたため、他の局も飛びついたんでしょう」

 A容疑者は事件現場から3.5キロほど離れた中野区にある2階建てアパートで暮らしていた。築1年のワンルーム、家賃月6・7万円ほど。複数のアパートの住人に話を聞くも、「見たこともない」とのことだった……。