区間新ブームの終焉の中、“あの区”だけは別

 今大会、区間新記録が生まれたのは5区のみ。

「数年前にシューズが厚底に変わり、区間記録がどんどん塗り替えられましたが、その転換期も落ち着いた印象です。ただ、山上りの5区だけはまだ新記録の余地があると思います。(城西大の)山本選手は今回“山の神”と呼ばれるところまでは行きませんでしたが、今井正人さん(順天堂大OB、初代山の神)が持つ参考タイム(1時間9分12秒)を超えてくる選手は現れるでしょう。近いうちに、8分台、7分台で走る “4代目山の神”が出てくるのではないでしょうか。そこも、楽しみにしながら待ちたいなと思っています」

読売新聞社前で10区を走る宇田川選手を待つ原晋監督(青学大)。優勝を確信し、えびす顔 撮影/北村史成
読売新聞社前で10区を走る宇田川選手を待つ原晋監督(青学大)。優勝を確信し、えびす顔 撮影/北村史成
【写真】優勝を確信し、えびす顔の青学大・原晋監督、両手をあげて宙を舞う感動的な胴上げシーンも

 最後に今大会を総括してもらうと、

「まさかの大逆転劇、史上最多タイの復路一斉スタート(16校)、熾烈なシード権争い……。駅伝は生き物のように予想は覆され、筋書きはなく、本当に何が起こるかわからない。僕も長く陸上界に携わっていますが、ここまでそれが示された大会はなかったのではないでしょうか? 改めて、駅伝って面白いなと思いました。100回大会の名にふさわしい名勝負がたくさん繰り広げられ、本当に歴史の1ページに残るような箱根駅伝になったんじゃないかなと僕は思います」

取材・文/荒井早苗