さらに、影響は他にも。

「血流の低下です。アキレス腱はふくらはぎとつながっているため、アキレス腱が硬いとふくらはぎも十分伸び縮みできず、血流のポンプ機能がうまく働かなくなります。それにより、むくみやしびれの原因となるなど、脚の循環にも悪影響を及ぼします」

 まさに脚の機能の要ともいえるアキレス腱。そもそも硬くなる原因は何なのか。

「加齢のイメージがあるかもしれませんが、実は老若男女、アキレス腱が硬い人は多い。いちばんの原因は十分に動かしていないこと。どちらかといえば女性のほうが硬く、その理由のひとつに、ヒールの高い靴を履く機会が多いことが挙げられます。

 ハイヒールは、アキレス腱が縮んだ状態を長時間保ち、伸縮が妨げられてしまいます。他にも、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が減ってくると、腱や靭帯(じんたい)の柔軟性が低下します。

 ですから、この分泌量がガクンと落ちる更年期以降の女性は、アキレス腱が硬くなっている人が多いのです」

 今はつまずきなどの自覚がない人も、アキレス腱の状態をチェックしてみよう。

「アキレス腱のストレッチをした時に、すねが前方に倒れる角度が目安になります。10度以上倒れない場合は硬くなっているので要注意。積極的にケアを行って」

アキレス腱の硬さチェック

 まっすぐ立ち、片足を一歩後ろに下げる。前側の脚をゆっくりと曲げた時、後ろの脚のすねを10度以上倒せるかが目安。10度以下の場合は柔軟性低下のサイン。両足とも確認をしてみよう。

 無理やりはNG!さほど負荷をかけずに倒れる角度を確かめて。

アキレス腱の硬さチェック イラスト/赤松かおり
アキレス腱の硬さチェック イラスト/赤松かおり