「金髪がダメなんて言ってられる状況じゃない」

 確かに立浪監督の中田への接し方は、特別な扱いにも見える。監督就任1年目には「長髪、茶髪、ヒゲは禁止」を選手に求めていたが、今年のキャンプインに中田は金髪の丸刈り頭、あごヒゲを生やしたコワモテな姿で登場ーー。初日から監督のカミナリが落ちるかと思いきや、

「似合っているからいいんじゃない?」

 と、ひと言でスルー。ファンの間からも「言ってることとやっていることが違うじゃないか」という声も上がったが、

もう、金髪がダメだの長髪がダメなんて言ってられる状況じゃないんです。最下位から脱出して上に行けるか行けないかの瀬戸際。そこで、とにかく打線の雰囲気を変えたい。そういった力を中田は持っていると思います。

 紳士で大人しく、なんてやっていたらますます弱くなりますよ(笑)。1年間、中田がケガなどすることなく出場できれば、チームの空気が変わる可能性は大きい。そうなれば、最下位脱出も十分ありえるんじゃないですか」

 江本さんは“中田効果”をこう語る。“アニキ”的な存在でこれまでも後輩達を引っ張ってきた中田。だが、それがいきすぎ、同僚への暴行問題で球団を“クビ”になった過去も……。

 “球界の紳士たれ”というモットーのジャイアンツで大人しくしてきた中田が、中日で本来の“アニキ”キャラの封印を解いた結果がどう出るのか? 最後に江本さんは、

「打てなくてもいいからバットを振り回して、スイングの風で相手を脅かす。それくらいの存在になれれば、若手の選手も変われるでしょう」

 と中田に“エール”を送る。さてさて、中日に吹き込む新しい風は、シーズン終了時にどんな結果をもたらすのかーー。