家屋倒壊や家具転倒などでケガや失命の危険性が高まるのは、この爆発的な揺れの時間帯。しかし、罹災者の声からもわかるように、そのときは何も考えられず動くこともできず、避難行動など到底とれない状況なのだ。

50代から急激に増加している。東日本大震災、阪神・淡路大震災ともに同様の傾向
50代から急激に増加している。東日本大震災、阪神・淡路大震災ともに同様の傾向
【表】東日本大震災の時の死者数(年齢別)、50代以上での急増がよくわかる

「ですから、小さな揺れのうちに素早く身を守る行動をとることが大事。罹災者によると、カタカタという揺れに続くガタガタという大きめの揺れの間も、動こうと思えば何とか動けたそうです。

 そこで私は、カタカタとガタガタの時間を合わせた〈8秒〉の間に、安全な場所に身体を移動させることを提唱。その啓発活動も行っています」

〈あっ地震!〉と思ったら、そこから8秒をめどに〈ともかく生きる〉ための動きができるか否か。それが生死の分かれ目となる。その8秒間にとるべき行動として、清永さんが提案しているのが〈3つの動物のポーズ〉だ。

「これらはもともと子どもたちにわかりやすく伝えるために考案したものですが、大人もすべきことは同じ。揺れ始めの8秒で、〈うさぎで探して、ねずみで走って、かめで守る〉と覚えてください」

うさぎ〉のポーズとは、倒れないように両手両足を床につけて低い体勢をとること。その上でうさぎのように前後上下左右を観察。倒れてくるものや落ちてくるものがない、安全な場所を探す。多くの場合、頑丈な机の下や何もない部屋の隅がこれに該当する。

 次に〈ねずみ〉のように身体を低くして走って、安全な場所に移動。

 その後は、〈かめ〉のように身体を小さく丸めて足を引っ込め、両手で首の後ろを守るポーズで、爆発的な揺れに耐える。