誠子の「美女に変身」にヤフコメは辛辣

だんだんと、見た目イジリはよろしくないという考え方が浸透しだし、誠子も時流を読んで、見た目で笑わせるネタを封印します。「見た目で人を判断しない」というのは、主に学校や採用試験、職場など評価を伴う場所で「美人は性格がいい」「イケメンは能力も高い」というふうに、その人の能力を見た目で決めつけるのはよしましょうという話なのですが、ネットニュースの中には「ほめるニュアンスであれば、見た目の話もOKなのでは?」と捉えているところもあるようです。そのため、誠子がダイエットをしたり、新しい髪型やメイク法に挑戦した場合、「美女に変身」というようなタイトルがつけられることが多いのですが、辛口で名高いヤフーコメントには「前よりましになったが、美女ではない」と書き込まれてしまう。なかには「調子に乗っている」とか「芸人なのに、勘違いしてヤバい」という意見もありました。多様性の時代という割には、美容好きなオンナ芸人に世間サマはあまりにも冷たい。誠子は自分の好きな美容をやっているだけで、「私、きれいになったよね?」とリアクションを求めているわけでもないのに、悪く言われてしまって気の毒だなと思います。

人の見た目をアレコレ言わないということは大分浸透したものの、その人の見た目によって他人が美容とのつきあいを制限したり、きれいになろうとする人を冷笑したりする。ルッキズムNO!と言いながら、日本の美容整形が増える一方なのは、こんなヤバさを反映しているのかもしれません。

<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」