和食の隠れ塩分が動脈硬化を促進する
ちなみに厚労省の基準では、日本人の1日の塩分摂取量の目安は男性で7.5g未満、女性で6.5g未満。とはいえ、高血圧や慢性腎臓病(CKD)の重症化を防ぐためには、男女とも6g未満にすることが推奨されている。日本人の平均塩分摂取量は男性が10.5gで女性は9g。
「毎日の食生活から減塩を心がけてください。家庭で使われている調味料は隠れ塩分の巣窟です。食塩→しょうゆ→ポン酢しょうゆ→ソース→ドレッシング→ケチャップ→マヨネーズ→酢の順番で、“塩分多め”から“少”になっていきます。
日頃からこうした調味料を減らすことを心がけましょう。100円ショップで売っている、しょうゆを霧状に振りかけてくれる“しょうゆスプレー”を1本持っていると便利かも。塩味の物足りなさを補うには、香味野菜やスパイスを活用するといいですよ」
例えば人気メニューの豚のショウガ焼き。下味と調味にショウガをたっぷりと加え、仕上げに七味唐辛子をプラスすれば、しょうゆはぐっと少なくなり、おいしさもキープ。だしを強めにきかせたり、オリーブオイルの活用も減塩に効果的。
「オリーブオイルは血糖値も上げませんし、油分が満足感を上げてくれるので食べる量そのものを抑制してくれます」
では減塩タイプの調味料や加工食品は……?
「高血圧や腎障害などの症状が出ている人が活用するのはいいでしょう。ただし、塩分が少ないからといってかけすぎてしまったり、物足りず他の塩分の濃いものをとってしまうということも少なくない。やはり薄味に慣れ、素材そのものの味を味わうことが大切です」
ちなみにスナックフードなどでもしょっぱい味つけを好む人は、ストレス過剰の傾向があると麻生さん。
「副腎の機能が弱っている人も、しょっぱい味つけを好む傾向がありますね。副腎機能の回復にはビタミンとミネラルが欠かせません。ミネラル不足から塩分を好む傾向が出ているのかもしれませんから、野菜を多めにとるようにしてください」
和食に含まれる隠れ塩分を避けようと、食生活の洋食化を図ろうと思っても、ここにも隠れ塩分が跋扈(ばっこ)している。
「まずはパン。発酵を促進するのに塩分が欠かせません。一見ヘルシーに見えるシリアルやグラノーラも、意外なほど塩分が含まれています」
塩分が多いものといえばチーズやハム、ベーコン、練り物。保存性を高めるために、塩分を欠かすことができないからだ。