目次
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ー 特殊詐欺は65歳以上、女性が被害 ー 本物の警察署と同じ番号が表示
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ー ブルネイ在住の韓国籍を名乗る男から… ー 「遺産を贈与したい」から手数料を…
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ー 1年半にわたり騙され続けた母親 ー 副業や小遣い稼ぎから闇バイトへ

「シニアの方は詐欺の最新手口に疎く狙われやすい。高齢女性の優しさにつけ込む犯罪も多いんです」

 そう話すのは、詐欺や悪質商法の手口に精通するジャーナリストの多田文明氏。

特殊詐欺は65歳以上、女性が被害

 警察庁によると、2023年の特殊詐欺の認知件数は1万9038件で、被害額は452億円を超えた。うち65歳以上の高齢者の被害は78%、そして男性より女性のほうが多いようだ。

「特にGW前後は特殊詐欺の発生する可能性が高い傾向にあるので注意が必要です」(多田さん)

 警察官を装った特殊詐欺事件が全国で急増中だ。警察庁によると2025年1月から2月末までに1039件、被害額は106億円を超える。

 2024年7月下旬には、鹿児島県在住・70代女性宅の固定電話に警察官を名乗る男から電話があり、約1億2000万円を騙し取られる事件が発生したという報道も。

 男はLINEでのやりとりに誘導し「あなたは詐欺事件の重要参考人だ。預金が悪用されたため紙幣番号を調べる必要がある」などと告げ、宅配便で現金を送るよう指示。女性は約3か月にわたり計11回送金した。

「LINEに誘導され、そこで偽の逮捕状や警察手帳の画像を見せられ、銀行口座の預金を移すように言われるケースが多いです。警察が通信アプリで事情聴取を行うことはありませんし、話を信じる前に相手の身元を確認のうえ、いったん電話を切りましょう。そして誰かに相談したり、自分で近隣の警察署の番号を調べてかけ直してください」(多田さん)

警察をかたる劇場型詐欺が急増(イメージ画像)
警察をかたる劇場型詐欺が急増(イメージ画像)

本物の警察署と同じ番号が表示

 最近では警察が実際に使う、末尾が0110という電話番号に偽装してかけてきたり、本物の警視庁や新宿警察署の代表電話と同じ番号が表示されることもあるそう。

電話番号すら偽装できるので、相手の番号を簡単に信じないようにしましょう。また、自動録音機能のついた詐欺対策用電話を設置したり、NTTが提供する、非通知でかけてきた相手に番号を通知してかけ直すよう自動音声で伝える“ナンバー・リクエスト”を利用するのも手段のひとつです」(多田さん)

 全国どこからでも、電話をかけた地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながる、警察相談専用電話♯9110へ相談するのもよい。

「権威のある機関や人からの電話というだけで、話を信じてしまうのが人間の心理です。しかも最近は劇場型といって警察役や役所役、銀行役など複数の犯人が役割分担して演技して信じ込ませるのでやっかいです。警察をかたる場合は、守秘義務があるので周囲に口外するなと騙してきますが、もし本当に警察事案なら警察相談専用電話に話してもいいはずです。話を鵜呑みにせず、お金の話は必ず誰かに相談しましょう」(多田さん)