親近感や恋愛感情を抱かせ、金銭を奪うロマンス詐欺。ひとり住まいのシニアの心の隙間につけ入る犯罪だが、近年では“投資詐欺”タイプが増加中。
ブルネイ在住の韓国籍を名乗る男から…
2025年1月、沖縄県在住・50代女性がインスタグラムを通じて知り合った人物から、510万円を騙し取られる事件が発生したという報道があった。ブルネイ在住の韓国籍の男と名乗る人物から「暗号資産で儲けている。銀行よりも安全に管理できる」と偽の投資話を持ちかけられた。女性は取引サイトで4回にわたり510万円分の暗号資産を購入し、男が指定したアドレスに送金。だが、金を引き出そうとしたところ手数料として490万円を要求されたため、不審に思い警察に相談したことで事件が発覚した。
「SNS型投資詐欺ともいいますね。身元不明の容姿端麗な異性が、旅行や趣味などの何げない会話からアプローチしてきます。しかも生成AIを使っていて日本語が流暢。犯人が外国人だとしても日本人を装うこともあります」(多田さん)
恋愛感情をほのめかし、偽の投資サイトへ誘導していく。
「最初は怪しいと思って少額投資にとどめると、それが増えて本当に自分の口座に戻ってくる。最近の詐欺グループは“損して得取れ”の方針なので、実際に一度は儲けさせて信用を得てから、高額を騙し取る手口です。その過程で仕事や資産などの個人情報はすべて筒抜け。詐欺グループが情報を共有しているので、ますます騙されてしまう。対策のためには、まずはこの手口を知ることが重要です」(多田さん)
「遺産を贈与したい」から手数料を…
恩情につけ込みお金を騙し取る遺産贈与詐欺の例もある。
「実際に私もこの手の詐欺と思われる連絡をSNSで受けたことがあります。オーストラリア・キャンベラ在住で、パートナーと死別したという人でした。典型的な手口だったので、すぐに詐欺だと確信しました。話に付き合うと、がんと診断され余命幾ばくもないので遺産を贈与したい。そのために手数料を振り込んでほしいという話の展開になりました」(多田さん)