目次
Page 1
ー 狙いは“ギャップ”に
Page 2
ー 「想定を遥かに超えて」出版社も感動
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ー 算数は「一番嫌いな教科」

《日本の算数の教科書良すぎる。5年の教科書らしいけど、プリントして全学年読むべし》というコメントとともに、米大リーグ・ドジャースで活躍する大谷翔平が、小学5年生の算数の教科書に「私と算数」というテーマで出ているページがSNS上で投稿された。

 話題を集めているのは、2024年春から使われている東京書籍発行の教科書。

狙いは“ギャップ”に

 大谷は教科書の誌面で、《野球選手になった今でも、算数はよく使っています。例えば、打つときの構え方は複雑ですが、それを単じゅんな三角形におきかえて、体重のかけ方や足の開き具合などを考えています。(中略)野球と同じように、算数もはじめからできたりわかったりすることはないと思いますが、1つひとつ深く考え、積み重ねることを大切にしてほしいと思います》と語っている。

 大谷を算数の教科書に起用した経緯について、東京書籍の広報担当者に話を聞いた。

「算数というと公式を覚えていないとできないなど、学習内容に目がいきがちですが、『新しい算数』では、学習を通して物事を考える過程や着想そのものに光を当てたかったという思いがございます。日常生活では、算数を意識することなく、算数の学習内容そのものや算数の学習を通して育った考え方を実は使っている、そういう点に気づくきっかけとなるページを設定したいと考えていました。

 そして、これらのことを、多くの子どもたちが活躍を知っている方のうち、算数・数学との親和性が高い方はもとより、一見、算数とは無縁な感じがある、算数とは遠いと思われる方が語ってくださるギャップが強いインパクトとなってくれたら、という思いもありました